あなたの話をお聞かせください――。作家で僧侶の家田荘子氏が気になる人物に迫る「駆け込み寺」対談編。話すことで自身を見つめ直し、人生の学びを見いだす。今回のゲストはビッグダディこと林下清志氏(56)。2006年から放送されたドキュメント番組「痛快!ビッグダディ」(テレビ朝日系)で大家族の密着取材を受け注目を集めた。番組の裏側ではどんなことが起きていたのか――。

 家田 番組出演するにあたって約束事はあったんですか。

 ダディ ああいう番組に露出してるだけで世間はいろいろ勘違いしますけど「おれは金も一銭もいらねぇけど、その代わりおれに一切命令するなよ」という約束でやってました。だからスタッフの言うことを聞かないことはよくありましたね。テレビとか撮ってるやつって偉そうなやつがいるんですよね。「ただ撮ってるだけで、面白い番組できると思ってるのか」って言うやつがいて。「なんだお前、この野郎。じゃあ、やめりゃいいじゃん、なしなし」って言って。次の日に製作会社の社長が飛行機で飛んできて「ディレクター代えるから続けさせてくれ」みたいな話になったこともありましたけど。特に制約とかはなかったですね。

 家田 番組に出てよかったことは。

 ダディ こうやって対談に呼んでもらえることもそうだし、町中を歩いてて「おい、お前! 子供を見世物にして金もうけやがって」と言われるのもワクワクするし。おれがなんにもしなくても面白いことがいっぱい起きてくるんですよ。そういう恩恵受けてます。

 家田 佳美さんが戻ってきたのもその番組。

 ダディ だいぶん前からスタッフが入ってたから説得したんじゃねかなと思ってますけどね。聞いたことはないですけど。番組上、突然、あいつが帰ってきたんです。おれが釣りをしてたら別れた元嫁がこっちに向かって歩いてきてる。後ろに知らないスタッフがいっぱいカメラとか音声ついてる。「仕込んでんじゃねーかよ、お前ら」って言って(笑い)。ディレクターが深々と「本当にすみません」と頭下げてた。そんな感じでしたね。

☆いえだ・しょうこ 7月22日生れ。愛知県出身。日本大学芸術学部放送学科卒業。女優、OLなど10以上の職歴を経て作家に。大ヒット映画「極道の妻たち」の原作者として知られる。1991年「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過ごした一年の壮絶記録」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2007年高野山大学にて伝法灌頂を受け僧侶となり、住職の資格を持つ。ユーチューブ「家田荘子チャンネル」を配信中。

☆はやしした・きよし 1965年4月8日生まれ。岩手県出身。2006年から13年まで放送された大家族密着ドキュメンタリー番組「痛快!ビッグダディ」(テレビ朝日系)シリーズで人気に。最初の妻と3度の離婚、その後3人の女性とそれぞれ離婚。16年に一般女性と7度目の結婚をするも離婚してバツ7に。2人の妻との間にもうけた実の子供だけで10人。三女の詩美は女子プロレス「スターダム」で活躍中。