大学を会場として行う学生らへのワクチン接種を巡り、医学部など医療系の学部がない大学の学生から不満の声が上がっている。

 萩生田光一文部科学相は11日の閣議後記者会見で、21日から可能となる職場や大学での新型コロナウイルスワクチン接種について、実施を申請した大学が32校に上ると明らかにした。10日時点での集計で、実際の接種開始は各大学で準備が整い次第となる。

 自治体が実施している高齢者向け接種に影響が出ないよう、接種を希望する企業や大学は、ワクチンの打ち手となる医療従事者や会場を自前で確保する必要がある。既に東北大や慶応大、広島大などが21日の接種開始を表明していた。

 現段階では、医療体制が整う一部の大学から準備が先行しており、それ以外の大学は打ち手の確保などに悩みながら対応を検討している状況だ。

 ある男子大学生は「自分もワクチンを早く打ちたいと思うけど、うちの大学には医学部や歯学部がないので大学からの連絡はまったく来ていない。そういったところで差が生まれるのは少し不公平」と話す。

 大学の接種を支援する文科省作業チームには10日までに97校から相談があった。やはり「実施したいが、医学部や看護学部がなく医療従事者が確保できない」との訴えが多く、付属病院のある大学と連携できるよう調整を進める。萩生田氏は「モデルケースをつくり出せるように各大学と調整を急いでいる」と述べ、学外の接種者も積極的に受け入れるべきだと指摘した。