いったい何があったのか。7日午前9時20分ごろ、東京・品川区の都営浅草線中延駅で日本オリンピック委員会(JOC)の経理部長の男性(52)が普通電車にはねられ、搬送先の病院で死亡。男性がホームから1人で線路に飛び込む姿が駅員に目撃されており、警視庁は自殺とみて調べている。

 東京五輪開幕まで50日を切る中、衝撃的な出来事に関係者は騒然となった。東京・新宿区のJOCには多数のメディアが詰めかけたが、詳細は一切明かされず。ただ、事実を知った五輪関係者は「え? ホント?」と絶句。大会エンブレム問題、新型コロナウイルスによる延期、大会組織委員会の森喜朗前会長(83)の失言&辞任騒動など問題続出の大会に「ホントに呪われている」と本音を吐いた関係者もいた。

 では、事件の背景に潜むものは? 本紙は亡くなった男性をよく知る関係者A氏に接触。一報を受けて「本当に驚きました」と感想を漏らしつつ、男性について「長い間、経理で頑張ってきた。口数が少なくて物静かだけど、とても芯が強かった」と振り返った。

 肩書が経理部長だけに〝カネの問題〟も関連づけられそうだが、A氏は「彼は正義感が強いので、経費の不正に絡むとは考えづらい」と私見を述べ「コロナでJOCの財政が困窮する中、多方面から『あれを減らせ』『これを切れ』と要求されて〝板挟み〟になったのではないか。普段はおとなしいけど、いざとなったら抵抗する方なので…」と話した。

 また、公益財団法人は全体の支出における事業費の割合が決まっており、人件費を事業費へ振り分けるテクニックなども要求されるという。「普段から細かい作業のプレッシャーがあるけど、ここ一年はもっと大変だったと思う」(同)。もちろん憶測の域を出ないが、五輪を取り巻く未曽有の事態が起因していることは想像に難くない。

※相談窓口は厚労省ホームページ(https://shienjoho.go.jp/)で検索できる。