旭日旗使用の〝厳罰化〟を巡り、韓国で賛否両論が湧き起こっている。きっかけは韓国の与党「共に民主党」の金容民(キム・ヨンミン)議員が発議した「歴史歪曲防止法制定案」だ。

 金議員は「日本帝国主義を称賛したり、歴史を歪曲する行為を処罰できる法的根拠が整っていないのが現実」と指摘。そして「特に日本の暴力的支配や、その支配下で起きた犯罪を称賛する行為、抗日独立運動という崇高な価値を偽りで毀損して侮辱する行為、旭日旗など日本帝国主義の象徴物を使用する行為が頻繁に発生し、国民の憤りが強まっている状況だ」と糾弾した。そこで「我々の憲法的価値を守るためにこうした行為を禁止し、違反時には処罰する規定を用意した」と主張した。

 そして、旭日旗などの使用を禁止行為に指定。違反した場合は最大10年以下の懲役または2億ウォン(約1940万円)以下の罰金刑を科すとした。

 これまでサッカー界をはじめ旭日旗の使用がたびたび論争を呼んできた中で、韓国与党が発案した旭日旗使用の厳罰化。横暴とも受け取れる法案に、さすがに韓国国内でも反対意見が出ている。韓国紙「中央日報」は「政界と学界では過度な表現の自由の侵害との批判が出た」として、専門家の意見を報じた。

 ギム・ギヒョン国民の力の党代表代行は「大韓民国の憲法価値である、表現の自由を侵害することはないか懸念がある」と表明。憲法学者のジャン・ヨンス高麗大法科大学院教授も「特定の法益の侵害を裁判所で確認する前に、特定の事実を違法視すること自体が問題。同じような方法で継続的に特別法を作っていくと、過剰な罰として悪影響が大きくなるだろう」と問題視した。

 日韓関係の悪化を背景に韓国内では旭日への過剰な敵視もあるが、さすがに厳罰化には反対意見も多い様子。旭日旗使用の厳罰化法案は大きな社会問題になりそうだ。