20日(日本時間21日)のジョー・バイデン次期大統領(78)の就任式で、伝説の米ロックバンド、ニュー・ラディカルズがこの日のため、22年ぶりに再結成し、名曲「ホワット・ユー・ギヴ(You Get What You Give)」を披露することが分かった。
 
 バイデン氏がこの曲にこだわったのは6年前に亡くした長男とのキズナだった。ニュー・ラディカルズは1997年、オルタナティヴロックの新星として現れ、わずか1枚のアルバムを残しただけで2年後に解散した。

 少ない作品の中で、同バンドの代名詞となったのが98年の「ホワット・ユー・ギヴ」だ。その歌詞は、嘘だらけのセレブの世界から科学の進化がもたらした副作用まで、20世紀の終わりに社会が直面した矛盾や危機感を訴えたもの。

 同曲は米国で〝X世代〟と呼ばれる60~70年代生まれの当時の若者たちを中心に世界的に大ヒット。バイデン氏の長男でデラウェア州司法長官を務めたボー・バイデン氏(69年生まれ)も自身の〝テーマ曲〟にするほどのお気に入りだった。

 だが、ボー氏は2013年に脳腫瘍を発症。父親の後継者として期待されながらも15年、46歳の若さで亡くなった。

 その闘病中、親子で聴いていたのもこの曲で、大統領に就任するバイデン氏にとって、本来なら晴れの場に一緒にいるはずだった息子に贈る歌となる。

 ニュー・ラディカルズのリーダー、グレッグ・アレクサンダーは「新たな政権下で、ワクチン接種の本格的な計画が始まり、アメリカは再び輝きを取り戻すことを心から信じている」とし、「それはこの曲のメッセージでもある。『この世界は困難を乗り越えられる』ってね」とコメントした。

 09年にユーチューブで公開された「ホワット・ユー・ギヴ」の公式ビデオは、就任式でのパフォーマンスが決まったことでアクセスが急増。現在、すでに累計再生数は1億回を超えている。