いったいどうなってしまうのか…。プロレス界の“黒いカリスマ”こと蝶野正洋(57)がこのたび、東スポグループ強化部長に正式就任した。「単に肩書につられただけだろ!」「ウチのどこをどうやって強化しようっていうんだ!?」と突っ込みたくもなるが、本人はすっかり東スポを乗っ取った気になっている。すでに気合十分で、さっそく強化策第1弾として紙面改革に着手。「原点に戻れ!」との方針を打ち出したが――。 

 ガーッデムッ! オイ東スポッ、強化部長ってどういうことだコラ。俺は大スポ(大阪スポーツ)と九スポ(九州スポーツ)では客員編集長だったんだぞ。格下げじゃねえか。ふざけんなオォッ。なに? グループ全体の強化部長だから昇格? それだったらいいが、そのうち名誉会長にしろよ。ま、なったからには言いたいことを言わせてもらう。ただ、録音や証拠になるものは全て消せ。分かってるな。

 じゃ、まずは紙面からだ。最近の上層部は頭が固いやつが増えてるのかな。記事が随分とおとなしくなってきてる。これは俺だけじゃなく、みんな言ってることだ。それだけに、強化部長としては「原点に戻れ!」と言いたいね。

 今年も新日本プロレス東京ドーム大会(4、5日)の解説をさせてもらったけど、今のトップの飯伏(幸太)君だとかオカダ(カズチカ)選手、棚橋(弘至)選手、内藤(哲也)選手って、技やテクニックは今風。でも、やってることは昭和のプロレスだった。1対1の果たし合いみたいな。

 彼らは俺らのころに比べると基本マジメなんだけど、リングに受け継がれてるものは変わってないんだと感じた。別に誰かが伝えたわけではなく、彼ら自身が考えて行き着いたものだと思う。どの時代も行き着くところは同じなんだろう。

 プロレスも記者もそこは同じだと思うぞ。記者たちには先輩たちの手法を学びながら、メディアの革命を考えろと言いたいね。緊急事態宣言がまた出されて考える時間もあるし、チャンスだと思ってやれ。ま、人間的には東スポの先輩記者たちはロクなのがいなかったから、そこはマネしなくていいがな(笑い)。

 東スポが持ってる役割ってあるんだよ。振り向いてもらえないことには何も伝わらない。東スポはそれをやってきたじゃないか。振り向かせるための、ありもしない見出し。記事の8割は振り向いてもらうための売名、最後の2割に本質が書いてある。

 派手なタイトルで目を引いて、そこからスマホに飛ばす。売店で見出しを競う時代じゃなくなってるけど、今はインスタを使う子が多いし、せっかくインスタ映えの“はしり”みたいなことを半世紀以上も前からやってきてるんだから、それを生かさないと。

 とりあえず、東スポの記者には「宇宙人とかカッパを探してインタビューしてこいっ!」て厳命しとくよ。なんなら俺がやってこようか? 宇宙人なら武藤敬司だし、カッパなら…これも武藤敬司か(笑い)。

 緊急事態宣言にも触れとかないとな。今後どうすべきかを考えよう。まず新型コロナのハザードマップをつくる。ハザードマップってのは自然災害のリスクを回避するための地図なんだが、そのコロナ版。たとえば、新宿や渋谷のどんなところで感染が起きたか知っておくと、だいぶ違う。これは待ったなしの提案だぜ。

 それと、これからは365日全てが勝負みたいなのがなくなり、週3労働とか、どれだけ自分の時間を生きてるかってのが重要になって、金に対する価値観なんかも変わってくるんじゃねぇか。年末年始のテレビを見てても、力を入れてるのと抜いてるのがはっきりしてた。こうなると俺の時代だ(笑い)。

 スポーツ選手ってのはしごきがあるから、手の抜き方を知ってるんだ。やるときはやる、手を抜く時は抜く。そうしないと持たないからな。でもマジメに教育を受けてきた人は手の抜き方が分からない。だから国はもっと金を出せ。金が大切なものだという意識をなくしてやれ。「心配するな、金の価値も変わるからこだわるな」って安心させてあげないと。
 それじゃ今回はここまで。今後も遠慮なく言わせてもらう。ガーーッデムッ! アイアム・チョーノ!

☆ちょうの・まさひろ 1963年9月17日、米国ワシントン州シアトル生まれ。186センチ、108キロ。東京で育ち、84年4月に新日本プロレス入門。同年10月5日の越谷大会での武藤敬司戦でデビュー。欧州武者修行から帰国した87年に武藤、橋本真也と「闘魂三銃士」を結成して注目を集める。鉄人ルー・テーズ直伝のSTFを極め、91年の第1回G1クライマックスを制覇。翌年も連覇し、一気に新日マットの頂点に立つ。96年にはハルク・ホーガン率いるnWoに加入。「nWoジャパン」を結成し、マット界の枠を超えた一大ムーブメントを起こし翌97年に東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞MVPを受賞する。2010年に新日プロを退社してフリーに。主なタイトル歴はNWAヘビー級王座、IWGPヘビー級王座、IWGPタッグ王座など。