菅義偉首相(72)に批判が殺到している。13日にネットで大炎上したのが、新型コロナウイルスに感染しながら入院を拒否した人に1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を課すという具体的な政府の法改正案が判明したからだ。18日から始まる国会で感染症法改正案を提出する予定だが、野党は猛反発。感染拡大を招いた無策を棚に上げ、強制的な罰則で国民を締め付ける姿勢に、早くも批判が噴出している。

 政府の罰則案が判明したのは、13日の政府と与野党の連絡協議会。感染が確認されて入院を拒否した者に1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を課すという〝犯罪者扱い〟の罰則案だった。

 これだけではなく、疫学調査を拒否したり、虚偽の内容を答えたりした感染者についても、6月以下の懲役または50万円以下の罰金を検討しているという。

 さらに、営業時間短縮などの命令に従わない事業者への罰則もある。新型コロナ特別措置法改正案で、緊急事態宣言下で50万円以下、宣言の前段階として新設する「予防的措置」では30万円以下の過料とする方向で調整を進めるている。

 これには即、野党が反対した。立憲民主党の福山哲郎幹事長は「事業者へは十分な補填に見合った時短要請にするべき。罰則ありきで議論を進めるのは非常に理解に苦しむ」と批判した。

 同党の泉健太政調会長も「政府が新設しようとしている罰則に国民は納得できるのか。再検討すべきだ」と反発。また、事業者へは緊急事態宣言前の予防的措置段階でも過料を新設するという案について、国民民主党の舟山康江政調会長は「私権制限に近い」と異論を唱えた。

 このニュースが流れるとネットは大荒れだ。

「そのうち強制収容所とか作り始めそう」「入院できない事情があるとは考えないのだろうか」「フェイクニュースかと思ったらマジだった」「会食してる国会議員も懲役刑にしてくれ」と反対意見があふれた。

 万一、法律が制定されたら弊害もありそうだ。

 都内の会社の男性管理職は「罰則ができれば、新型コロナの症状が出ても、検査を受けようという気が削がれますよ。陽性になったら強制入院みたいなものでしょ。検査をせずに我慢して働き続ける人が増えちゃって逆効果になりませんかね」と首をひねる。

 そこで浮上するのが〝ニンジン作戦〟だ。罰則ではなく、コロナに感染して入院したら1日5000円なり1万円なりを支給するとなれば、入院拒否は減るだろう。

「新宿区では感染者に見舞金10万円を出していました。そういうのがあるといい」と前出の男性。罰金よりも補償が有効というわけだ。

 一方、行政関係者は「国も自治体もなるべくお金を出したくないのです。それに、お金を支給するとなると『まだダルいから』などと、病院に居座る詐欺まがいの輩も出てこないとも限らない。懲役刑まで想定しないと感染拡大を食い止められない段階に来ている」と政府案に理解を示している。

 菅首相は、緊急事態宣言の対象地域を11都府県に拡大したのに伴う会見で、罰則規定導入について「濃厚接触者を特定する調査が、より実効性を上げるよう法改正を検討しており、当事者に協力してもらう体制を取ることが大事だ」と理解を求めた。

 現在の法律では、陽性が確認された感染者が入院勧告を拒否できたり、無症状や軽症の感染者が宿泊・自宅療養から抜け出したりするケースが問題になっている現実もある。

 野党関係者は「感染拡大している地域では入院したくても病床が足りず、自宅療養中に亡くなる人までいるという今の状況をなんとかするのが先。感染拡大を招いた政策の反省もせずに、先に国民に罰則を課すのが感染防止対策だという姿勢は、国民の反発を招くだけですよ」と憤る。

 実際に法制化されるかは国会審議しだいだが、可決された場合は、菅内閣の支持率はまた急落、政権崩壊につながりかねない。