中国電子商取引最大手のアリババグループの創業者で億万長者で知られるジャック・マー氏(56)の消息が、約2か月も途絶えている。中国の習近平国家主席(67)との対立が表面化していたこともあり、マー氏の謹慎説から当局による拘束説などが飛び交っている。

 海外メディアによれば、マー氏は昨年11月以降、表舞台に姿を見せていない。同月はアリババの子会社であるアント・フィナンシャルが香港と上海市場で、新規株式公開(IPO)を行う予定だったが、中国当局が待ったをかけ延期となった。

 370億ドル(約3兆8000億円)もの巨額の資金調達がパアになった。実は10月にマー氏が中国の金融規制システムを「老人クラブ」と批判したことで、習氏の逆鱗に触れたとされる。

 マー氏の消息が途絶えたのは、このIPO停止以降であることから、政府当局と和解策に奔走しており、表に出るのを自重している自粛説がある。また、アリババグループを当局が規制対象にしており、捜査の手が入っているともいわれる。マー氏は既に当局に拘束されているとの見方も出ている。

「もともとマー氏は習近平国家主席と近かったが、その後、犬猿の仲となった流れがある。2019年にマー氏が第一線から引退したのも、習氏の圧力があったとされている。習氏はアリババグループを自分の支配下に置くために、マー氏が邪魔で仕方がない」(国際ジャーナリスト)

 2年前には中国を代表する女優のファン・ビンビン(39)が行方不明となり、後に巨額の脱税疑惑で捜査されていたことが分かった。中国では失踪が判明した際は、政府当局から何らかの嫌疑をかけられているケースがほとんどだ。海外メディアの中には、マー氏の死亡説まで飛び交っており、行方が注目される。