相模鉄道の相模大塚駅構内(神奈川県大和市)から、在日米軍厚木基地に航空燃料輸送を行っていた米軍厚木基地専用線(廃線)のレールの撤去作業が進み、廃線マニアや懐古マニアから悲鳴が上がっている。

 米軍厚木基地専用線は、神奈川県大和市にあることも手伝って「いつでも行ける廃線跡」として人気があった。

 ある鉄道マニアの男性は「物心ついた時には廃線になっていました。気が向くと足を運んでいましたが、今年になってから、どんどんレールが撤去されてビックリしました。800メートルほどの専用線ですが、昭和の香りが漂うこの路線は、自分にとって心のオアシスのようなものでした。廃線跡にはロマンがありますよね。ちょっとでもいいので残してもらいたかったですね。“昭和の風景”がまたひとつ消えました」と語る。

 米軍厚木基地専用線を使って運ばれていたのはジェット燃料で、タンク車によって輸送されていた。タンク車をけん引していたのは、レトロ感のある「ED10」という旧型の電気機関車だ。

 それがトレーラーなどでの運搬に切り替わったことで、1998年9月に輸送業務が終了。2017年6月30日には、在日米軍基地の使用に関する日米合同委員会で「軌道及びその他雑工作物」の日本返還が決まったとみられる。もともと、この専用線は“米国”だったのだ。

 第2次世界大戦後は相鉄線に沿うような形で航空燃料用パイプラインが設置されていた時期もあったとされるが、設備が貧弱だったため、危険があり、後に使用停止となり、撤去されたようだ。

 相模大塚駅を出てからは、住宅の軒下をすり抜けるように走っていた米軍厚木基地専用線。途中には、いくつもの踏切があった。最近はここが「駐車場」になっていたこともある。数か月前までは警報機や遮断機、標識などが残っていた。

 終戦から70余年、廃線跡といえども、米軍厚木基地専用線が残されていたことには驚きを隠せない。