スーパーヒーロー映画「ワンダーウーマン」シリーズの女優ガル・ガドット(35)が新作「クレオパトラ」で主演することが発表されたが、この配役が事実誤認による物議を醸している。

 モデル出身のガルは身長177センチという恵まれた体形と運動神経で「ワンダーウーマン」(2017年)の主役を勝ち取り、堂々のワンダーウーマンを演じて高い評価を得た。

 続く「ワンダーウーマン1984」はコロナ禍の影響で公開が遅れに遅れ、今年12月25日の日米同時封切りとなっている。

 そんなガルが同シリーズのパティ・ジェンキンス監督と三度タッグを組み、新作「クレオパトラ」で古代エジプトのプトレマイオス朝最後の女王役を演じることが決定したのだ。

 全盛期だったエリザベス・テイラーが主演した超大作「クレオパトラ」(63年)など、〝絶世の美女〟を題材にした壮大な歴史劇はこれまで何度も映画化されてきた。

 歴代ハリウッドの看板女優が演じてきたクレオパトラ役に大抜擢されたガルはツイッターで「私が長い間伝えたいと思ってきた物語」とファンに喜びの報告をした。

 ところが、この配役が波紋を広げているのだ。

 ガルは04年に「ミス・イスラエル」に選出されたワールドクラスの美女で、クレオパトラ役に適役と絶賛する声がある一方、エジプトの女王を白人が演じるのは〝ホワイトウォッシュ〟、つまりハリウッドの白人至上主義だというのだ。

 SNSではさっそく、「エジプト人かアフリカ系、またはアラブ系の女優が演じるべきで、イスラエル人がクレオパトラなどあり得ない」などとの意見が飛び交っている。

 そんな中、米NBCニュースはイラン出身の歴史家アラシュ・アジジ氏の解説を紹介。プトレマイオス朝(紀元前305年~前30年)はヘレニズム時代の東地中海文化に属し、クレオパトラの母国語はギリシャ語。生まれこそエジプトだが、人種は古代ギリシャ人だったと同氏は説明。

 イラン出身の米女優でアムネスティ・インターナショナルの親善大使を務めるナザニン・ボニアディもガルの配役を擁護。「クレオパトラはマケドニア系のギリシャ人。間違った認識でガルを攻撃するのはやめて」とツイッターで訴えた。