和解か泥沼か――。昨年7月に「5時に夢中!」(TOKYO MX)の番組内で、タレントのマツコ・デラックス(47)が参院選で当選したNHKから国民を守る党を酷評したことで起きた立花孝志党首(52)との騒動が、裁判の場に舞台を移し、第2ラウンドが始まった。

 6日、コロナ禍で閑散とした東京地裁の法廷で、粛々とN国党側の弁護士がマツコ発言で被害を受けた原告の声を訴えた。「マツコ氏の発言で、N信(N国党の信者)的なイメージを強くさせられた。支持する人間が社会からイロモノ扱いされ困っている」

 発端となったのは本紙記事。マツコが国政政党となったN国党の躍進に「(選挙で)ふざけて入れた人も相当数いるんだろう」「宗教的な感じもある。ちょっと気持ち悪い」などと評し、立花氏が「有権者をバカにするな」と反論。MXのスタジオ前に3度にわたって押しかけ、猛抗議に出た。

 その後も立花氏はMX側に電話、内容証明等で見解を求めていたが、なしのつぶて。マツコの発言で被害を受けた有権者82人を集め「マツコ・デラックス被害者の会」を結成。この会とN国党が原告となって、1人1000円、計8万2000円の損害賠償をMXおよびマツコ側に求めて、提訴した。

 この日の裁判を終えて、立花氏は「誤解されているが、お金が欲しいわけではない。マツコさんの影響力は大きい。ユーチューブやツイッターで悪口を言うのは構わないが、電波、放送は国民共有の財産。だからこそ放送法4条に政治的公平・中立がうたわれている。一方的に言うのではなく、こちらにも反論させてもらいたいだけ」と訴えた。

 この裁判では今後、マツコ被害者の会に債権譲渡という形で原告の数を増やしていくことが可能という。立花氏は「(MXおよびマツコから)謝罪か説明があれば、(訴えを)取り下げることに問題はない」と譲歩の構えも見せる。

 ただ、MX側は既に弁護士を通じ「損害賠償は払わない」と争う姿勢で、来月までに裁判所に答弁書を提出する予定だ。