昨年大みそかの「第70回NHK紅白歌合戦」(東京・NHKホール)は第2部(午後9時~11時45分)が平均視聴率37・3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と前年比4・2ポイント減で、2部制となった1989年以降、最低となった。3年連続総合司会の内村光良(55)に、白組司会には2年連続で嵐の櫻井翔(37)と昨年と同様の布陣であえて臨んだが、厳しい結果に。一方、嵐が紅白でお披露目した「カイト」を巡っては“場外乱闘”も起きている。

 シンガー・ソングライター・米津玄師(28)が作詞作曲した「カイト」。人気グループ・嵐と人気アーティスト・米津のコラボ作品とあって見どころの一つだったのだろう。リハーサルでは報道陣を完全にシャットアウトする“鉄のカーテン”を敷いたほどだ。

 実際のオンエアでは米津と嵐の対話が映し出され、完成したばかりの新国立競技場に米津が登場。楽曲に込めた思いを語り「とてもいい曲になったと思います」とコメント。その後、嵐の5人がグラウンドの中央で「カイト」を歌い上げた。

「NHK2020ソング」と位置づけられた「カイト」。NHKではスポーツに限らず、様々な番組で使用していくとしている。嵐は「NHK東京2020オリンピック・パラリンピック放送スペシャルナビゲーター」に就任している。「カイト」もNHKでは数多くのタイミングで流されることになるはずで、グループを代表する楽曲となっていく可能性は十分ある。

 完成度も高い「カイト」だが、この楽曲を巡っては紅白の放送前から不穏な空気が流れていた。ある音楽関係者は「米津のファンからは『なんで嵐に楽曲を提供するんだ』という怒号が絶えないんです。実はそれだけの因縁のある関係でもあるんです」。きっかけはこの両者が出した前作シングルだという。

 米津の前作のシングルはTBS系ドラマ「ノーサイド・ゲーム」の主題歌となった「馬と鹿」。企業ラグビーチームの奮闘を描き、ラグビーワールドカップの開催とともに、日本代表を象徴するような曲ともなった。一方の嵐の前作は57枚目のシングル「BRAVE」で、日本テレビ系ラグビー2019イメージソングとして放送されていた。この2曲が昨年の9月11日に同日発売だった。

 結果としては発売初週の9月23日付オリコン週間シングルランキングでは「BRAVE」が初登場1位を獲得。嵐が米津に勝利したが、かなりシ烈なバトルが繰り広げられた。

「馬と鹿」にはツアー「米津玄師 2020 TOUR/HYPE」のチケット抽選応募券が購入特典で、一方の「BRAVE」も発売直前に東京ドームでのコンサートのチケット応募にCDの帯の裏に記載されたユーザーコードが必要という同じような手法を取った。

 前出の関係者は「これでお互いが引くに引けない状況になった。結果が出たあとには、米津のファンがツイッターなどで『そこまでしないと、嵐は米津さんに勝てないんだね』などと投稿。嵐のファンも『お互い様じゃないか』などとやり合ったんです。そんな因縁があったからこそ、米津が嵐に楽曲提供をすると決まった時に『なんで?』という話になったわけです」。

 そんな因縁はいざ知らず、本人たちは初めて会った日に一緒に食事をし、意気投合したとも話していた。

 ある芸能プロ関係者は「正直言って、嵐は歌がうまいと絶賛できるほどのグループではないですからね。米津が歌っていたらどんな楽曲に仕上がっていたのかなとは思います」。人気コラボが作り上げた「カイト」がこの1年でどう成長していくか。