反社会的勢力の忘年会に、会社を通さない「闇営業」で出席した芸人がギャラを受け取ったと認められたため、吉本興業は24日、「雨上がり決死隊」宮迫博之(49)、「ロンドンブーツ1号2号」田村亮(47)、レイザーラモンHG(43)ら11人の芸人を、当面の間、謹慎処分とすると発表した。各テレビ局が対応に追われるなか、最も注目されたのは「アメトーーク!」を放送するテレビ朝日だったが、なんとも歯切れが悪い説明に終始するしかなかった。その理由とは――。

 吉本が謹慎処分にしたのは宮迫、亮、HGに加え、「ガリットチュウ」福島善成、ムーディ勝山、くまだまさし、「天津」木村卓寛、「ザ・パンチ」パンチ浜崎、「2700」ツネと八十島、「ストロベビー」ディエゴの11人だ。

 吉本は、マスコミ各社に送った文書で「複数回にわたり、該当タレントへのヒアリングや各自の記憶の整理、確認を丁寧に行った結果、該当する芸人において、反社会的勢力主催の会合であるとの認識はなく、また、報じられていたような金額ではありませんでしたが、会合への参加により一定の金銭を受領していたことが認められました」と金銭授受があったことを認めた。

 処分について「今回の事実確認結果は、重大な問題であると考え、今回の処分に至り、弊社としてもその責任を痛感するものであります」と続けた。

 この問題は、7日発売の写真週刊誌「フライデー」が報じたもの。大規模振り込め詐欺グループが、2014年12月27日に東京都内のホテルで開いた忘年会に、「カラテカ」の入江慎也(42)の仲介で芸人が出席した。入江は吉本から契約を解除されたが、他の芸人は厳重注意にとどまった。

 宮迫と亮はツイッターで「ギャラはもらっていない」と主張したが、その後、ギャラは支払われたとする報道が相次いだ。今回、吉本も認めざるを得ない状況となった。亮に対しては、相方の田村淳が「お前を軽蔑する!」と怒りに任せて言ったことをツイッターで明かしている。

 本紙の取材に吉本は、宮迫らがウソの説明をしていたことについて「5年前の話を聞いてますし、ウソをついていたという意識はなかったと思います。ヒアリングで記憶を整理整頓していく中で、金銭の享受があったのではないかということに対して、社が判断しました」と説明した。

 謹慎という決定を受け、各テレビ局は対応を協議し、一様に当該芸人の出演見合わせを決定。さらに収録済み番組から出演場面をカットしたり、中には番組差し替えを決める局もあった。そうしたなかで、最も注目されたのがテレビ朝日だ。

「11人といっても、最近はほとんど芸能の仕事をしていない芸人もいる。注目されるのは最も売れっ子の宮迫ですから」(芸能プロ関係者)

 宮迫がMCを務める「アメトーーク!」、亮が出演する「ロンドンハーツ」を放送するテレ朝広報部は「当該出演者に関しましては、今後の出演を見合わせることといたしました」と発表。ただ収録済みの番組については「対応を慎重に検討しております」と述べるにとどまった。出演場面のカットや差し替えを決めた他の局に比べると、歯切れの悪さが目立った。

「アメトーーク!」は今週、27日に「ネタ書いてない芸人」、さらに来週、7月4日には「パクりたい―1GP」のオンエアが予定されている。

「宮迫も出演しているが、出演場面をカットしようにも宮迫がMCだし、難しい。それで『対応を慎重に検討』という歯切れの悪い表現になったのでは」(同)

 本紙でも既報したように、今回の問題を受け「アメトーーク!」からスポンサーが降りる事態に発展している。だが「それでもテレ朝は打ち切りたくないのが本音」だとか。

「人気企画である『絵心ない芸人』で描かれた絵は、LINEのスタンプやマグカップになってグッズとして売り出されている。また毎年夏に行われる『テレ朝夏祭り』でも、『アメトーーク!』は人気コンテンツの一つで絶対欠かせない。テレ朝にとってはいまや、ただの番組ではない」(テレビ局関係者)

 ただ、宮迫が復帰するとなれば「またスポンサー離れが起きかねない」(同)。

 打ち切りも地獄、続行もまた地獄――テレ朝にとって「宮迫謹慎」のダメージは計り知れない。