欧米では新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、新たな都市閉鎖も伝えられる中、日本では先週末に封切られたアニメ映画「鬼滅の刃/無限列車編」がもたらした国内映画史上記録となる興行収入や観客動員数に米メディアは驚きの反応を示している。

 米紙ニューヨーク・タイムズは20日、「パンデミックって何? 日本映画が記録的な観客動員」という見出しで〝鬼滅現象〟を詳報した。

 同紙は「公開3日間の観客動員340万人や売上46億円はこれまでの国内記録の2倍以上。先週末の興行収入は世界最高で、これは日本以外全ての売上合計を上回るもの。しかも公開されたのは日本だけだった」とその凄さを強調した。

 コロナ禍によりハリウッドの映画会社が次々と大作の公開を延期し、競争相手がほとんどいない状況だと前置き。その上で同紙は、「鬼滅の刃」の「成功の大きさは平常時でもケタ外れだが、パンデミックの中では特別な意味を持つ」と指摘。

「混雑した劇場で何時間か他人と一緒に座ることを安全だと感じられれば、観客がいかに素早く戻ってくるかを証明した」と絶賛した。

 一方、米芸能誌「バラエティ」は、コロナ禍で安全を確保するため、劇場が観客数を約半分にして上映する中で、同作品は日本の映画記録を更新したと伝えた。

 米誌「ニューズウィーク」は、同作品が2016年から「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった吾峠呼世晴による漫画を原作としたアニメ映画だと説明。単行本(電子版含む)はすでに1億部を突破しているとし、「大ヒットする下地があったことは何の疑いもない」と分析した。

 また、米通信社ブルームバーグは先週末の動員数340万人が「日本全体の人口の約3%にあたる数字だ」と解説。加藤官房長官みずから「鬼滅の刃」のアニメを見たことがあるとのコメントを紹介した。