山の神から海の神へ——山岸の移籍で北九州のJ1昇格も夢ではない
2017年03月20日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2月中旬に行われたJリーグ開幕前恒例の「キックオフカンファレンス」に懐かしい顔があった。元日本代表GK山岸範宏。5月に39歳を迎える大ベテランは、今季からJ3に降格した北九州の主将としてチームの“広報活動”に精を出していた。

 浦和のアジアチャンピオンズリーグ制覇を経験し、2014年に当時J2の山形に移籍。出場機会を求め、愛着あるレッズを初めて離れたが、山形では文字通り“神”となった。同年のJ1昇格プレーオフ(PO)準決勝では後半アディショナルタイムにゴール前に上がり、ヘディングで勝ち越しゴール。その勢いのまま決勝も勝ち、チームをJ1に導いた。

 山形では「山の神」と称賛され、抜群のキャプテンシーとともにチームの顔となった。浦和時代から懇意にさせてもらっていた身としては、浦和にいない寂しさよりも、新天地で輝く「背番号1」の姿が毎週楽しみだった。

 それだけに、今季から北九州に移籍したという話には驚いた。いったい、山の神に何があったのか。

 久しぶりに話を聞くと、意外な事実が出てきた。

「僕も山形でもう1年、って思っていたんですよ。そんな感じだったから、年末は家族と外国にいたんです。そうしたら代理人から北九州の話があって『31日、空いてない?』って。そりゃ、大みそかですから空いてるけど、そんな時期ですからね…」

 帰国し、大みそかに北九州の幹部と会い、熱い思いを聞かされた。山形との契約は残っていたが、クラブ側からは「いい意味で」山岸の気持ちを尊重するという話ももらっていた。「やっぱり、自分を必要としてくれるって言われるとね」。ほぼ、即決に近い形で北九州行きを決めた。

 山岸の名前を全国に広めたのは昇格POでのゴールだが、実は北九州と縁が深いゴールだった。このシーズン、J2で5位に入った北九州はJ1ライセンスを持っていなかったため、POの出場を認められなかった。仮に北九州がPOに出場できていたら、6位の山形の準決勝の相手は3位の千葉。そうなっていたら、あの“神ゴール”は生まれていなかった。

 北九州が当時、J1ライセンスを交付されていなかったのは本拠地・本城陸上競技場が収容人員の問題などでJ1の基準に満たないとされたためだった。そんな北九州は昨年完成した「ミクニワールドスタジアム北九州」(ミクスタ)を今季から本拠地にする。そのスタジアムの守護神として、山岸が12日のJ3開幕戦のピッチに立ったのも何かの因縁だろう。

 このミクスタ、小倉駅から徒歩7分の好立地。Jクラブで初めて海に隣接したスタジアムとして話題となっている。山岸も「山の神」から「海の神」として新たなスタートを切った。

「素晴らしいスタジアムがあるのに、いつまでもJ3ではダメですよね。僕はJ3でずっとやる気なんて、さらさらない。このチームはJ2昇格どころか、J1にだって行けるポテンシャルがある。それは僕のあのゴールの年に証明されているわけじゃないですか。やりがいはありますよ」

 失礼ながら、山岸が山形に移籍した時、それでもJ1昇格は難しいと思っていた。でも、いい意味で予想を裏切ってくれた。山岸の言葉を聞いていると、北九州のV字回復も決して夢ではないと思っている。

(運動部デスク・瀬谷 宏)



ネタになる!!
えー!?異議あり!!




東スポ動画
「ミス東スポ2017」グランプリ決定
注目コンテンツ
ビートたけし本紙客員編集長が審査委員長の独自の映画賞!

日本マット界の隆盛、発展を祈念し、東スポが制定したプロレス大賞です。

開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載!