プロフィール
オフィス北野・プチ鹿島(ぷちかしま)
1970年5月23日生まれ。血液型O。時事ネタを得意とする。東スポ歴は中学から30年。TBSラジオ「東京ポッド許可局」、同局「荒川強啓デイ・キャッチ!」(月・水)、YBSラジオ「プチ鹿島の火曜キックス」、NHKラジオ第1「午後のまりやーじゅ」に出演中。著書には「教養としてのプロレス」(双葉新書)。




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参りましたという気持ちになった「人生フルーツ」
2017年02月09日

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以前に名画座で森繁久弥の「社長」シリーズをみたとき、ちょっと羨ましかったことがある。

 1956年から1970年までに制作された喜劇映画のシリーズなのだけど、サラリーマンがとにかくゴキゲンなのだ。高度経済成長期とあって、そこで描かれるニッポンはとてもウキウキしてる。「あ〜こんな時代に働いていたら楽しそうだなぁ」とスクリーンを眺めていた。

 
何本かの作品には建設中の団地が映っていた。山に囲まれた町が、まさにニュータウンに変貌している姿が確認できるのだ。そこには疑いのないバラ色の未来感があった。成長し発展し続けることは善というあの時代の空気を体験できた。

 
今回、その”疑いのないバラ色の未来感”とは正反対の映画をみた。

『人生フルーツ』(監督・伏原健之)という作品だ。東海テレビによる劇場公開ドキュメンタリーの第10弾。

 
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅に、雑木林で囲まれた一件の平屋がある。そこに暮らすのは夫・修一さん90歳、妻・英子さん87歳。自宅で70種類の野菜と50種のフルーツを育て、自給自足に近い生活を送っている。

 
修一さんの職業は建築家だ。かつて日本住宅公団のエースであった修一さんは数々の都市計画に携わってきた。60年代に、自然との共生を目指したニュータウンを計画したが時代は経済効率優先。理想とは程遠い大規模団地に変更される。

 
すると修一さんはそれまでの仕事から次第に距離を置き、自ら手掛けたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育て始めるのだ。

 
つまり、日本中が浮かれていた経済成長の時代に背を向けて、自分の「プロジェクト」を完遂しようとするのである。ここでいうプロジェクトとは「生き方」でもある。

 
注意したいのは「本当の豊かさとは」という言葉で気軽にまとめようものなら途端に陳腐になってしまうことだ。ましてスローライフなどと言ったら失礼だ。

 
私が思うに、これは老夫婦の話でもなければ老後の話でもなかった。理想を追い、50年間この生活を実践している現役バリバリの闘士であった。実際、修一さんは納得する仕事があればすぐさま応じる。妻・英子さんは雑木林でとれた野菜やフルーツでいつも料理をしている。

 
のどかではあるが暇ではない。強い、とにかく強い。

 
憧れというより、参りましたという気持ちになった『人生フルーツ』でした。



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