金メダルに輝いた侍ジャパンで、メジャースカウトたちの注目をとりわけ集めた選手が投手と野手で一人ずついる。まず投手で注目されているのが、先月28日のドミニカ共和国戦と4日の米国戦に先発し、好投した山本由伸投手(22=オリックス)だ。

 常時150キロ台後半を計測する直球と140キロ台後半のスプリットを中心に、角度のあるスライダーやカットボールを操る投球術は「今メジャーに挑戦しても間違いなく通用する」とスカウト経験のあるメジャー関係者はこう太鼓判を押す。

「メジャーには150キロ超えの直球を投げる投手は大勢いる。でも、由伸のように直球の制球力が良く、かつ140キロ台中盤のスプリットや変化球を直球と同じ腕の振りで操れる器用な投手はごくわずかと言っていい。しかも、ここ数年はパワーカーブを効果的に使って、緩急を付ける投球も身につけている。力一辺倒ではなく、いざとなれば打たせて取る投球もできるのだから、由伸のような若くて有望な投手をメジャー球団が放っておくわけがない。海外FA権取得まで5年以上あるはずなので、近い将来の移籍であればポスティングを利用してでしょう」

 一方、打者でメジャー関係者の評価を高めているのが、決勝で本塁打を放つなど活躍した、村上宗隆内野手(21=ヤクルト)だ。

 まだプロ4年目とはいえ19年にはシーズン36本塁打&96打点を挙げ新人王を獲得。昨年から侍ジャパン入りを果たし、今では不動の三塁手としてチームに欠かせない存在になりつつある。

 三振数が多いという粗削りな面はあるものの、メジャー関係者の間では「磨けば光る大器」として各球団が熱視線を送り始めている。

「メジャー志向が強い由伸(山本)ほど注目はされていないが、複数チームが水面下で調査を始めている。日本人野手はこのところ大谷(エンゼルス)を除き筒香(ドジャース)、秋山(レッズ)とさえないが、村上は打撃センスを持っていると評判ですからね」(前出メジャー関係者)

 その〝センス〟とは体の軸がブレない「スイング」と逆方向へ強い打球を放つ「バットコントロール」だという。

「村上は体幹が強いこともあり、どの球種でもフォームを崩されず、力強いスイングをすることができる。そこに巧みなバットコントロールが加わるから逆方向に強い打球も打てる。これは動くボールが主流のメジャーで成功するための重要な要素の一つ。落ちるボールへの対応がやや苦手なので三振が多いですが、最近はバットの打ち出し角を変えるなどして対応しているようですから。数年後にはさらに成長するはずなので、本人の気持ち次第ではメジャー球団が青田買いするでしょうね」(同関係者)

 侍ジャパンの快進撃で世界から注目を浴びる日本人選手。米メジャー関係者の動きがさらに活発化するかもしれない。