日本ハムの「ビッグボス」新庄剛志監督(49)が、3日間の沖縄・国頭秋季キャンプ視察を終了。自身のツイッターに「BIG BOSSとしての意味のある3日間。沖縄キャンプ有難う御座いました。ひと回り大きくなった選手達と1月31日にまた戻って来ます」とつづった。

 そのファッション、言動に注目が集まった一方、新監督としての実務面でも若手ナインの意識改革の扉を開けた。

 稲葉GMが「選手が監督の目を意識して目の色が変わって元気も出ていた3日間だった。練習メニューも遠投や40メートルダッシュ、連係、シートノックで捕手が外野へ行ったり目線を考えていた。楽しみながらでも、そこにはちゃんとした意図が見えている。私にもそういうアイデアがあれば教えてほしいと言われている。(選手を)飽きさせないようにと考えています」とうなる新庄メソッドの詰まった3日間となった。

 何より一軍昇格、レギュラー定着を目指す若手にとって刺激となったのは、これまでテレビでしか見たことのなかったスター監督から、直接の声掛け、指導だったろう。

「監督兼外野守備コーチ」を自任する新庄監督は、自らの専門分野である外野手の守備指導については現役時代に失敗から学び、自分のものにしてきたメソッドを惜しげもなく当該選手に注入した。

 目的意識の薄い遠投を廃止し、キャッチボールから「より低く、早く、強い」実戦的な送球をするためのメニューを導入した。球団が期待する万波や五十幡にはグラウンドで直接声を掛け、独自視点からの外野守備ノウハウを提示した。

 また、悩める大器・清宮には「ちょっと体にキレがない気がするからやせてみよう。それで飛距離が落ちるならまた食べて戻せばいいだけ。とりあえずトライしてみよう」と減量指示も出した。

 新庄ビッグボスだからこそ指摘されないが、実はこれ、選手の自主性を重んじ「首脳陣は選手に教えない」「選手自身に考えさせる」を育成の原則としてきた日本ハムにとっては異例のこと。

 しかし、その「自主性」を重んじるばかりに、まだ自分で自分を律するレベルに達していない若手に対して、多くのコーチがその接し方に苦慮し肝心の育成が停滞してきたのもまた事実。そして、その壁を今回、新庄監督がいとも簡単に飛び越え、しかも「人を見て法を説く」スタイルで若手のやる気まで引き出してしまったところに大きな意味がありそうだ。

「今の子たちは時代、時代と今の時代に逃げている気がする。オレ、本当にここ14、15年の日本の時代を知らないから、オレたちの時代をまたこっちに持ってくる」と言うビッグボス。その大胆な手法とスターのオーラで低迷する日本ハムの育成を再び上昇気流に乗せられるか。