日本ハム・中田翔内野手(32)のドラゴンズ入りはあるのか。同僚への暴行が発覚して放出説も飛び交っている中田の移籍先として一部報道で中日の名前が浮上している。打撃強化が課題の上、これまでも他球団を放出されたワケあり選手を獲得してきたからだが、関係者の間からは「NO!」の嵐が吹き荒れている。チーム内の不協和音はもちろん、大阪桐蔭高の後輩・根尾昂内野手(21)への影響が心配されるからだ。 

「正直、このチームでは(今後プレーするのは)難しいかな」。栗山監督のこの発言で一気に現実味を帯びてきた中田放出だが、一部報道では獲得に向かう球団として中日の名前が取りざたされている。リーグ最低のチーム打率、本塁打、得点が示すように得点力アップはドラゴンズの最重要課題。パ・リーグ元打点王は補強ポイントに見事に合致する。過去には契約更改でもめてオリックスを退団した中村紀洋らを獲得した〝実績〟もあるからだ。

 だが「他球団の選手についてコメントする立場にはありません」(球団幹部)と中日サイドの反応はつれないもの。チーム内外からも「中田を獲得すべき」という声は聞こえてこない。

 OBの1人が「いらない。チームがくしゃくしゃになるよ。ノリ(中村紀洋)は明るくて、みんなとよくしゃべってチームに溶け込んでいたけど、中田はそういうタイプではない。とっつきにくそうだし、みんなが腫れ物にさわるような感じになるんじゃないか」と反対すれば、球団事情に詳しい関係者の間からも「来年の監督がどうなるかわからない状況で高年俸(推定3億4000万円)の中田を獲りに行くか?」「中田には高校時代に数々の武勇伝があった。そういったことも考えてうちは(2007年ドラフトで)指名を見送っているからいまさら取ることはないでしょう」という声が上がっている。

 さらに中田が中日入りした場合に最も不安視されているのが大阪桐蔭の後輩でもある根尾への影響だ。もしも大先輩の中田が同じユニホームを着ることになればいろいろと神経を使うのは間違いない。それもあって「中田が入ってきたら同じ高校ということで(後輩の)根尾も気を遣うだろうし、(2年先輩の)平田も困るだろう」「中日の選手はおとなしいし、根尾もそうだけど、みんなが萎縮したり、舎弟になったら困る」とOBや関係者の間から出てくるのは心配の声ばかりだ。

 復活を目指すドラゴンズにとって将来のミスタードラゴンズと期待されている根尾の成長は最優先事項。わざわざ不安要素を招き入れることはなさそうだ。