オリックスで「佐藤輝が来なくて良かった」との声が上がっている。3日の阪神戦(甲子園)は8回に紅林の勝ち越し2ラン、9回に吉田正の適時二塁打で加点し、7―3と逆転勝ち。注目の関西ダービーを2勝1敗で勝ち越した。

 警戒していた佐藤輝に対しては3試合で11打数3安打1打点に抑えたものの、この日は2回に先発の山崎福が右中間に豪快な14号ソロを浴びた。

 虎躍進の立役者となっている佐藤輝は、オリックスも昨年のドラフトで1位指名した。阪神、ソフトバンク、巨人との競合の末、クジ運の悪い福良GMが外し、当たりくじを引き当てたのは阪神・矢野監督。得点力不足が深刻なチームにとって大学生ナンバーワンスラッガーを逃したショックは大きかった。

 それでも今季のオリックスは佐藤輝のポジションが想定された三塁に宗佑磨(24)、外野で杉本裕太郎(30)が頭角を現し、レギュラーに定着。宗は高卒7年目、杉本は大学―社会人を経て6年目で開花し、球団関係者も「毎年のように〝今年こそは〟と期待されていたのが、ようやく出てきてくれた。宗の打撃センスは素晴らしいし、肩も足もある。杉本もチャンスが増えて結果を出せた。佐藤がウチに来ていたらどちらも今までのような状態だったかもしれない。ケガの功名というか、その意味では外してくれた福良さんのおかげですよ」と苦笑いだ。

 この日も4回に杉本が反撃の適時打を放ち、宗も9回に安打で追加点をお膳立てした。佐藤輝を外したクジ運も2人にとっては大きな転機だったかもしれない。