大量7人を獲得した西武の“野手ドラフト”が一軍半クラス野手の尻に火をつけている。

 昨年10月のドラフトで支配下、育成合わせて7人の大学、高校生野手を指名獲得した西武。内訳は内野手3人、外野手4人だが、これに最も刺激を受けているのは年齢の近い20代の野手たちだろう。

 今回の大量の野手指名の意図を潮崎哲也編成グループディレクターは「どうしても試合(二軍戦)に追われてしまう若い野手を(遠征試合に行かせず)残留させて鍛えるためにも、ある程度の人数を確保する必要があった」とチームが近年抱えていた野手不足の課題を説明する。一方、これでうかうかしていられなくなったのが、まだ一軍でチャンスをつかみ切れていない一軍半クラスの“有望株”というわけだ。

 昨年、一軍では不動のリードオフマン・秋山のメジャー移籍と山川、中村らの故障離脱などで捕手であるルーキー・柘植を除く計10人の野手がチャンスをもらった。

 いずれも、レギュラーにはもうワンパンチ足りない中で経験を積んだのが内野手では6年目の呉念庭(27=51試合)、3年目の山野辺翔(26=53試合)の2人。外野手では5年目の鈴木将平(22=46試合)、6年目の川越誠司(27=48試合)、4年目の高木渉(21=12試合)の3人だった。

 現場からは「去年、一軍でチャンスをもらった連中はもう目の色を変えてますよ。これだけの数のライバルが入ってきたら、次のチャンスをつかまないと後がなくなる。優秀な新人を大量採用する。その作戦は素晴らしいと思う」と太鼓判が押されている。

 この中で今季、一人でもレギュラーに定着する選手が出てくれば、それだけでも今回の野手ドラフトは成功といえる。