先の見えないコロナ禍情勢が優良外国人との契約延長交渉を難しくしている。

 西武は今月2日に今季前半のブルペンをけん引したリード・ギャレット投手(27)を自由契約選手として公示した。再契約の意思を持つ球団は契約延長交渉を継続しているが、状況は厳しいかもしれない。

 そこには「家族の問題」が絡んでいるからだ。今年1月末、メアリー夫人との間に第1子となる長男が誕生したギャレットは、米国でその誕生に立ち会いキャンプが第2クールに入った2月6日、チームに合流した。しかし、それと時を同じくして世界的な新型コロナの感染拡大で国と国をまたいだ移動は事実上の〝ロックダウン〟となった。

 やむなくギャレットも夫人と長男の来日を白紙としコロナ終息を待ったが、状況は一向に改善せず。初めて日本という新天地で迎えたシーズンを米国人の概念にはない「単身赴任」という形で乗り越え49試合で3勝2敗16ホールド、防御率3・10の数字を残した。

 8月、9月の不調はあったものの、球団は前半戦のブルペンの中心的活躍、その真面目な人柄を評価し再契約交渉の道を模索しているが、コロナの終焉が見えない世界情勢でギャレットの気持ちは揺れているようだ。

 関係者が「やはり一番は家族の問題。米国人にとっては家族と一緒にいることが何よりも優先されること」と言うように、この状況が続く限りギャレットの不安は解消されることはない。

 外国人の厳しい入国制限が続く状況から見て、仮に西武と契約延長をしても来季も単身赴任の可能性は強く残る。たとえ夫人と長男を連れてきたとしても慣れない異国での生活不安や病気等を考えると、その手助けとなる祖父母らの来日も現状ではおぼつかないからだ。

 帰国時に「家族に会えず寂しい気持ちもあった」と本音を漏らした優良助っ人が、西武での2年目を迎えるにはコロナ情勢の劇的な改善が必須条件となってくるのだが…。