他球団移籍となれば大きな痛手となるのは間違いない。4年連続日本一となったソフトバンクがベテラン・長谷川勇也外野手(35)のFA流出危機に頭を悩ませている。

 29日の時点では権利行使の有無を明言していないが、球団側は「ほかのチームで、との考えもあるようだ」と気が気ではない様子。もちろん、来季の戦力として考えており「うちだと出場機会は少なくなってしまうが、まだまだバリバリやれる選手。そこを求めてとなったら(残留は)厳しいところがある」(球団関係者)との見方もある。

 2013年に首位打者と最多安打を獲得した打撃技術は健在で、今季も開幕直後は4番か5番で起用された。終盤は代打の切り札として存在感を発揮した。痛手となるのは戦力の面だけではない。稀代の打撃職人は常勝ホークスの〝象徴〟の一人でもあるからだ。

 日本シリーズでは代打で登場し鬼気迫るヘッドスライディングを敢行。間一髪でアウトになると拳をグラウンドに叩きつけて悔しがった姿は記憶に新しい。その姿は多くの他球団関係者に衝撃を与えた。練習の鬼としても知られ、キャンプの個別練習で連日1000球超のティー打撃を行うなど、目の当たりにした若手に衝撃と好影響を与えてきた。

 ファーム調整期間中には若手野手の「打撃の師匠」として大活躍した。若手から質問を受ければ長時間にわたり熱く目からウロコの打撃論を展開する。「優しいし、何かを聞いたら、その倍くらい教えてくれる」と感謝感激する若手は多い。日本シリーズMVPに輝いた実質1年目の栗原にしても、長谷川のアドバイスについて何度も感謝を口にした。

 高い意識を持つ鷹ナインの中でも、長谷川はお手本とも言える存在。FA宣言となれば、複数球団による争奪戦となる可能性もありそうだ。