またまた流出してしまうのか――。昨オフの契約更改で球団からの複数年契約の提示を断り、単年契約を結んだ西武・増田達至投手(32)のことだ。先月25日に国内FA権を取得。まだシーズン中とあって「野球選手として(権利取得は)うれしいことですが、その先のことはまだ考えていない」と本人は多くを語らなかったが、ここまで14試合に登板して2勝9セーブ、防御率0・64と安定感抜群の守護神の動向は複数球団の編成が水面下で調査している。

 今季の契約が済んだ直後、渡辺GMは「複数年を断って1年契約というと『じゃあ来年FAか』と見るファンの方も多いかと思う。でも、彼は単にそういう感じじゃないような気がした。自分に厳しくしたいと。長く付き合ってきて彼の性格も分かっている。あえて単年で勝負したいというものが伝わってきました」との見解を示していた。

 だが、FA権を取得する直前の契約更改で複数年を断り、単年契約にする流れは2017年オフの浅村(現楽天)、18年オフの秋山(現レッズ)と同じ。西武にできることは、しかるべきタイミングでフロントが全力で増田を引き留めにいくこと。同時にFA流出した場合に備えて対策をしておくことだろう。

 現状で抑えが務まりそうな投手はともに最速160キロの平良、ギャレットのいずれか。まだブルペンでの役割が決まっていない宮川、浜屋のドラフト1位、2位コンビに経験を積ませ、来季以降を見据えてしっかり底上げを図ることも欠かせない。リーグ3連覇だけでなく、黄金期を作り上げる意味でも投手陣の整備は今の西武にとって最大の懸案だ。