中日ファンの間ではネットを中心に、2年目の根尾昂内野手(20)が二軍戦で活躍するたび「なぜ一軍に上げないのか」との議論が噴出する。ウエスタン・リーグのオリックス戦(ナゴヤ球場)に「3番・二塁」で先発出場した29日もそうだ。

 根尾は〝プロ初〟の1試合2本塁打を含む3安打6打点の大暴れで16―1の大勝に貢献した。一方、一軍は同日の広島戦で4安打零敗を喫し、一夜で最下位に逆戻り。試合後に二軍戦での根尾の活躍ぶりについて問われた与田監督は「(二軍の情報は)全部知ってますよ。根尾の活躍もうれしいですし、他の選手たちも今日はたくさん点を取っているんで。この間、ファームに行った石垣にしてもそう。とにかく今一軍にいる選手をどんどん脅かすような、新しい力がどんどん出てきてほしい」と話し、根尾を特別扱いしない方針を改めて強調した格好だ。

 なにも与田監督の考えが偏っているわけではない。二軍の事情に詳しい関係者はこう言う。「根尾は打撃にムラがあって一軍に上げるのはまだ早いと思う。2本塁打といっても二線級の投手からだし、2発目は風のおかげもあって本塁打になったようなもの。実際、根尾だけでなく、みんな打ちまくっていた。二軍首脳陣も『一線級の投手から打ったのを見たことがない』と言っているぐらいで、今、一軍に上げても苦労すると思う」

 不安な点は守備にもある。根尾は強肩が売りだが上半身の力に頼りすぎてしまうところがあり、送球が不安定な点だ。別の関係者は「高校まではそれでよかったかもしれないが、毎日のように試合があるプロでは、ちゃんと下半身を使って送球しないと故障につながる恐れがある。石川昂弥はすでに守備は安定していたことから先に一軍に呼ばれたというのもある」と指摘する。

 ルーキーイヤーの昨年ならともかく、2年目とあって〝お試し〟で一軍に呼ばれることもない。攻守で一軍レベルに達するまで、ファンも根尾もジッと耐えるしかないようだ。