巨人など複数球団が新型コロナウイルス対策として、遠征先での「外出禁止、自粛令」を出しているが、阪神は「その予定はありません」と今後も出先での外出を制限しないという。

 雨天中止となった10日のDeNA戦(横浜)、11日のヤクルト戦(神宮)とチームは開幕延期決定後、初の遠征だが、自由時間の外出は各自判断でOK。それには感染者が出た場合の集団感染を避ける意図もあるという。

 遠征前の8日にナインに感染防止の注意喚起を行った球団フロントは、その狙いをこう話す。「ウイルスという目に見えないものに対しての対策だけに何が『正解』かは、難しいところだけど、外出禁止にして食事は宿舎会場だけにして、その後、チームの誰かがウイルスに感染となった場合、もうその時点で『集団感染』を覚悟しなくてはいけない状況になるでしょ? チームとして一番怖いのはそれ。外出禁止にして、1か所に集まることがベストかといえば、決してそうではない気がするからね」。あえて「出禁」にしないのも、集団感染を防ぐひとつの手段でもあるのだ。

 もちろん、宿舎内は衛生面の観点では信頼性の高い場所ではある。だが、新型ウイルスには10日前後の潜伏期間があるとされており、仮に「外出禁止令」を出し、食事会場など一堂に会する場所を作った後にチーム内で感染者が出た場合、チーム全員の「濃厚接触」を疑わなくてはいけない事態になる。

 さらにそんな集団感染対策として、今遠征では“フレキシブル”な移動を奨励したという。「基本は球団で1つの便を用意して切符を手配しているが、変更は各自判断でOK」と関東への新幹線移動は「集団」ではなく「各自」に重きを置いた行動を促した。

 コロナ騒動に揺れる球界で、遠征先での「外出問題」は賛否が分かれるところ。猛虎としては、先行きが不透明だからこそ、未来のチームに対してのリスクマネジメントを重視した形だ。