西武の将来を担う若手投手陣が9日の“松坂ブルペン”に軽い衝撃を受けている。

 14年ぶりに古巣復帰した松坂大輔投手(39)は第2クール最終日となったこの日、3度目のブルペン入り。初めて捕手を座らせた状態でセットポジション61球、ワインドアップ32球の計93球を投げ込み集まったファンから大きな拍手を受けた。

 この本格ブルペン調整には球団OBで前中日シニアディレクターの森繁和氏(65=評論家)や江夏豊氏(71)ら球界の重鎮が辻監督、渡辺GMらと見守るなど注目を集めた一方で、西武の将来を担う今井、松本、本田らも練習の合間を縫って食い入るように39歳右腕の取り組みを見守った。

 何より若手投手陣に衝撃を与えたのは松坂のブルペン調整がおもむろにセットポジションから始まり、そのまま61球を投げたこと。常に走者を得点圏のセカンドに置いた想定で目線だけのけん制を二塁または一、二塁方向に送りそのタイミング、パターン、ボールを持つ間隔を変えながらストレートに5種類の変化球を交ぜた実戦的ブルペンだったことだ。

 4年目の昨年、プロ初勝利を含む6勝(6敗)を挙げ今季のローテーション定着が期待される本田圭佑投手(26)は「自分は初めて(捕手を)座らせた時に1回目からはやらない。まずはベースをつくりたい。最初から得点圏にランナーを想定しているのはちょっとすごいなと。松坂さんでもランナーを置いた状況を大事にしている。自分もなおさらやらないといけないなと思った」。気持ち良く自分の間合いで投げることばかりを優先するのではなく、常に自分の間合いで投げられない劣勢、ピンチの場面を想定しその状況をどう打開していくのかの意識の違いに言及した。

 しかし、これは「いつも通りですね。試合ではセットで投げることがほとんどだし、いつもの練習通り」と軽く受け流した松坂にとっては通常のブルペンワーク。前回在籍時から松坂の調整を知るチーム関係者は「こういう刺激を与えてくれるのはいいこと。そもそもそれを常に考えない、考えさせないことがおかしいんですから。今、ウチの若い投手は初めてエースと呼ばれるピッチャーの取り組みを見ている」と納得顔。リーグ連覇を果たしながら2年連続チーム防御率ワーストに沈んだ投手陣の意識改革が松坂によってもたらされることを期待していた。