助っ人左腕の“薄給″が波紋を呼んでいる。5年ぶりのリーグVを果たした巨人でローテの一角として8勝(8敗)を挙げたC・C・メルセデス投手(25)の来季年俸はわずか240万円増の1100万円。実は昨年も5勝(4敗)を挙げたにもかかわらず550万円から微増の860万円でサインしており、周囲から「あまりにも安すぎる」と不思議がられている。そんな激安年俸の裏にはメルセデスの抱える特殊な事情があった。

 メルセデスは支配下2年目の今季レギュラーシーズンで8勝を挙げ、ポストシーズンでは腰痛で離脱したエース菅野の穴を埋めてCSファイナル、日本シリーズとも重要な第2戦を任された。にもかかわらず11月26日に契約更改した来季年俸はわずか240万円増の1100万円にとどまった。同じ8勝(6敗)の右腕・桜井が1000万円から3000万円にアップしたのに比べ激安。他球団関係者も「メルセデスはウチだったら年俸5000万円くらいの評価」と小首をかしげる。

 この見立てに巨人関係者は「今季もC・C(メルセデス)は一軍最低年俸(1430万円)はほぼ満額。それに勝ち星やイニング数での出来高はきちんと払っている。さらに家族で住める外国人選手用のマンションの経費を合わせればそれ(5000万円)ぐらいになる」と反論した。

 出来高払いを高くし、ベース年俸が抑えられた裏にはメルセデスの油断しやすい性格があるという。今年1月に再来日したメルセデスは明らかに“太め残り”。25歳とまだ若く、太りやすい体質に加えて一軍で5勝(4敗)、防御率2・05の成績を挙げたことで過信し、オフに自分を追い込まなかったのだ。今季は好投していても6回以降に突然崩れるケースが目立ち、原監督も「代え時の難しい投手」と起用法に頭を悩ませたのも、オフの過ごし方と無関係ではない。油断をさせないよう「C・Cに結果を出させるには出来高払いを厚くした方がいい」(前出の球団関係者)と開幕からフル回転してもらうための契約スタイルとなったのだ。

 巨人は2日、メルセデスと同じドミニカ共和国出身のナティーノ・ディプラン投手(25=ブルワーズ2A)とエスタミー・ウレーニャ内野手(20=ツインズ1A)を育成選手として獲得したと発表。11月に阿部二軍監督が視察した現地でのトライアウトに合格した2人の目標はトライアウトから2018年途中に支配下契約を勝ち取り、一軍に定着したメルセデスだ。そんな後輩から刺激を受け、出来高払いという“ニンジン”で安定走行するメルセデスに期待したい。