国内FA権を行使して他球団移籍が決定的なソフトバンク・福田秀平外野手(30)の移籍先が、ようやく決着しそうだ。24日には日本一祝賀パレードとファン感謝イベントに出席し、ファンとの別れを惜しんだが、それにしても、ここまで時間がかかった理由は何なのか…。背景には、西武からFA宣言してメジャー挑戦を目指す秋山翔吾外野手(31)の存在があるという。

 小雨が降るあいにくの天気の中、福岡市中心部で行われた日本一3連覇を達成したソフトバンクの祝賀パレードは、沿道に約25万人(主催者発表)が集まり思い思いの声を選手らに届けた。

 柳田選手会長らとオープンカーに乗車した王貞治球団会長は「(雨の中)ファンには申し訳なかったけどね。『ありがとう』『おめでとう』とたくさんのご声援をいただいた。これが年中行事と言えるようになるといいね」と語った。

 ナイン、関係者が日本一4連覇への思いを強くする中、沿道の声援を受け涙を流したのが福田だった。

「どうなるか分からない中で、もしかしたら今日が最後のユニホーム姿かもしれないので…見てもらいたいというのはあった。『どこに行っても応援するからね』という言葉にグッときた」。雨中のパレードでたった一人だけジャンパーもカッパも着ず、オープンカーから背番号37のユニホーム姿を披露した。

 人的・金銭補償の不要なCランクとあって、今FA市場一番の人気銘柄は交渉解禁日の今月3日に西武、中日と会談。6日にはヤクルト、ロッテの順番で続々と交渉のテーブルに着いた。13日には楽天が満を持して参戦して、宣言残留を望むホークスを含めて6球団の条件が出揃った。プレーヤーとしての純粋な評価と出場機会を求めてのFA行使に、どの球団もソフトバンクが引き留め交渉で提示した4年総額5億円(金額は推定)をしのぐ高い評価で誠意を伝えた。加えてレギュラー待遇とも言える背番号や起用方針を材料に口説きにかかり、ヤクルトに至っては高津監督が“おかわり”で直電ラブコールを送った。

 今オフ同じく国内FA宣言した美馬学投手(楽天↓ロッテ)と鈴木大地内野手(ロッテ↓楽天)はすでに決着済み。それだけに福田もこの日「他のチームの編成にもご迷惑をおかけしている」と、決断に時間がかかっていることをわびた。だが、同時に「まだ決まっていないのが事実」と申し訳なさそうに偽らざる胸中を明かした。なぜ、ここまで決まらないのか。球界内でささやかれている理由の一つが、海外FA権を行使してメジャー挑戦を目指している秋山の動向だ。当初、メジャー契約が厳しいという見通しだった秋山には西武残留と、巨額契約で獲得を目指す楽天への国内移籍の線が色濃くあった。

 今回、福田がFA権を行使した大きな理由の一つが出場機会。同じ外野手である秋山がメジャー移籍を断念した場合、西武に残るのか、楽天に新天地を求めるのかの見極めは、福田の将来を大きく左右する。

 福田に限らず誰もが求めるのは主に「待遇面の好条件」と「出場機会」。高い給料で試合に多く出られる球団があれば即断できる。西武からも楽天からも熱意ある条件提示を受けたが…。出場機会がなくては、ソフトバンクを出る意味がない。

 だが、ここに来て秋山の動向が固まりつつあるという見方が浮上。それに伴い、福田の決断の時が迫っているという見通しが広がっている。

 この日、ファン感謝イベント後に「自分の中で固まりつつある。今月中には決めたい。近々発表できると思います」と明かした福田。福岡の街を愛し、愛される男に別れの時が刻一刻と近づいている。