巨人のアレックス・ゲレーロ外野手(32)が2年契約を満了し、今季限りで退団することになった。後半戦は持ち前の打棒も光ったものの、成績に見合わない高年俸がネックになった。何かとお騒がせ男の印象も強かったが、今季はすっかり優良助っ人化。実はチーム内ではムードメーカーにもなっており、ナインの間に早くも“ゲレロス”が広がっている。

 また一人、巨人から助っ人が去る。今季は9人もの外国人選手を抱えたが、すでにアダメスとマルティネスは戦力外となり、マシソンも来年の東京五輪での引退を見据えて退団。ビヤヌエバとクック、ヤングマンの3人も退団が濃厚で、残留が確定的なのはメルセデスとデラロサだけ。去就が不透明だったゲレーロも契約満了による退団が決まった。

 契約最終年の今季は101試合に出場し、打率2割3分7厘、21本塁打、54打点。年間ベースでは好不調の波が激しく、得点圏打率も2割1分3厘と低い。2年総額8億円の年俸に見合わないものではあったが、球団内では後半戦の活躍を評価する声も根強かった。ゲレ砲再生へ、個別レッスンも行った原監督は8日に「来年は戦力にいないということです。さらに(いい人材を)というところですね」と話した。

 ゲレーロ退団に現場の選手たちには「どうなるかと思っていましたけどビックリしました。もともと構ってほしがる性格ですが、ちょっと寂しいですね…」と驚きとショックが広がった。というのも、ゲレーロが巨人に在籍した2年間で人間的にも大きく成長したからだ。昨季は首脳陣との接見を拒否するなど何かと問題児のイメージが先行したが、今季は態度が一変。二軍落ちを繰り返しても笑顔を絶やさず、周囲と積極的にコミュニケーションを図った。日本語も少しずつ覚え、ゲレーロが口ずさむ「状態イイネ」は球団グッズにもなった。

 チーム内ではムードメーカー的な存在にまでなっていた。自身が放った本塁打で男泣きする一面もあった一方で独自の視点で“巨人ブサイクランキング”を作成。これが選手たちに大ウケで、選手の一人は「合っているかどうかはどうでもいいんですけど、アレックス(ゲレーロ)がよく言ってたんですよ。『ナンバーワン、ハタケ(畠)サーン、ナンバーツー、サクライ(桜井)サーン、ナンバースリー、タグチ(田口)サーン』って。あれには笑わせてもらいましたね」としみじみと振り返った。他のナインをイジれるのは、それだけチームに溶け込んだ証しでもあった。

 プロ野球は結果で判断されるシビアな世界。ゲレーロの退団を感情論だけでは語れないが、ナインの間には喪失感も漂っている。