【核心直撃】5年ぶりのリーグ優勝を果たした原巨人。栄冠をつかめた要因の一つは、戦力供給源となるファームから次々と選手を送り込めたことも大きい。公式戦全日程を終了したイースタン・リーグではチーム打率2割6分3厘でトップ。その中心にいたのは、今季から育成を託された村田修一ファーム打撃兼内野守備コーチ(38)だった。元スラッガーはどんな思いで打撃改革に取り組んだのか。その胸中に迫った。

 ――公式戦は終了。コーチ1年目を振り返って

 村田修コーチ 面白かったですね。若い選手たちなので成長するのも目に見えて分かるし、今年に限って言えば高田監督に打撃を任せてもらいました。バントはあまりせず(リーグ最少の44犠打)、どうやって打てばいいか選手に考えさせながらできたと思います。価値観を一致させるように、みんなに毎日言い聞かせてきました。

 ――価値観の一致とは

 村田修コーチ 片手を離さず、両手でバットを振るように常に言いました。彼らは打撃を覚えないといけない選手たち。三軍ではスイング軌道、二軍は打撃のスタイル、一軍に行ったら野球を覚えないといけない。段階を踏まないと野球はできない。頭でっかちに野球ばかり覚えようとしても、実際にできないならプロ野球選手として意味がないですから。まずは両手で振ることを徹底しました。

 ――両手で振る大切さとは

 村田修コーチ 変な打ち方をしていれば勝手に手が離れるので、自分にウソをつけないんです。バランスも取れる。試合で打つための練習だから、試合と同じように両手で振れよということですね。今まで通り、気持ちよく打撃練習をしても試合では使えない。もちろん、離れることはあるけど、自分から離すことは二軍としてはやっていないということです。

 ――試合で求めたことは

 村田修コーチ 打席に立ったら打つことが優先。四球は二の次。振る姿勢があれば、3ボール2ストライクで空振り三振してもいい。ただ、見逃し三振は許しませんでした。特に直球系の見逃し三振は、必ずミーティングで言いました。3―2でバットが出ないのは、打てる状態で待っていないから。「変化球が来るかと思いました」と言ってきた選手には「お前、どのレベルでモノを言ってんだ?」というぐらいの叱咤激励もしました。腹をくくって投げてくる投手を打ち返す気力がなければ、一軍では打てません。(反省して)また練習すればいいので。

 ――個性も生かした

 村田修コーチ 自分の長所は何なのか。長打を打つのか、率を残すのか、出塁してかき回すのか。うまくハマったのが増田大じゃないかな(優勝決定試合で中前へ決勝打)。二軍では2ストライクからの粘りが抜群にできていた。パンチ力はあるけど、長距離ヒッターになれるわけがない。強く振ることは必要だけど、遠くに飛ばす練習は必要なかったです。

 ――コーチとして選手との間に一線を引いたのか

 村田修コーチ してないですね。こういう(怖そうな)感じに見られますしね、僕は…。二軍にいる選手の半分ぐらいとは、ご飯にも行きましたし。どういう打撃をしたいのかを聞いて、それに付き合って。(昨年BCリーグの)栃木にいた時のように、一緒にやっていこうと。

 ――最後に

 村田修コーチ 今年は(頻繁な入れ替えで)原監督にうまく回してもらったと思います。増田大が上がり、若林もレギュラーみたいに使ってもらって。間違いなくモチベーションの維持になりました。野球は団体競技ですけど、打席に立てば個人競技。選手たちには頭をしっかりと整理してその一球、その一打席に集中していってほしい。