中日が“森繁和シニアディレクター(SD)退団”余波に揺れている。奈良原浩一軍内野守備走塁コーチ(51)が3日、名古屋市内の球団事務所を訪れて退団を申し入れ、球団から了承された。

 球団は慰留したが、奈良原コーチの辞意は固かったという。話し合いを行った加藤球団代表は「『Aクラスにいけず(7年連続で)Bクラスだった責任を感じている。来年、このチームで指導することがいいのかどうか考えた』と言っていた。今年は失策の最少記録もあったし、そういう意味では非常によくやってくれたと思うが、お互い契約についてはプロの世界なので、仕方ない」と説明した。

 中日は今季45失策で守備率9割9分2厘(守備機会5373)を誇り、2004年に中日が記録した9割9分1厘=守備機会5186)を抜くセ・リーグ新記録を樹立。シーズン45失策は04年の中日に並ぶセ・リーグ最少記録で、07年から首脳陣に加わった奈良原コーチの功績によるところが大きいとされる。

 しかし、現役時代から西武、日本ハム、中日で苦楽を共にした森SDを筆頭にした“落合一派”とされる計5人の契約満了による退団が1日に発表されたことで、球団内では奈良原コーチも“男気”で一緒に辞めることにしたのではとの声もある。

 加藤代表は「こっちは残ってもらえると思って(来季の)組閣を進めていたので正直、驚いた。突然だったので後任はこれから考えないといけない。優秀な人だから、他球団で引く手あまたじゃないかな」と悔やんだ。逃した魚は大きかったとならなければいいが…。