今季限りでの現役引退を表明した阪神のランディ・メッセンジャー投手(38)が18日、兵庫県内のホテルで引退会見を行った。

 晴れやかな表情で、時折ジョークも交えながら行われた会見だったが、「10年間守りぬいた甲子園のマウンドはどのような場所だったか」と問われると、1分近く声を詰まらせ、涙を懸命にこらえながら「Means a lot とてもとても意味のある場所だった」と声を振り絞った。

 自身最高の思い出として挙げたのは巨人を倒しシーズン2位から日本シリーズ進出を決めた2014年のクライマックス・シリーズ。「最高のライバルといわれる2チームが東京ドームで戦い、4連勝することができた。ジャイアンツ相手に好投できた日。特に甲子園でできた時はいつだって最高だった」。宿敵打倒に闘志を燃やし、10年間タテジマの主戦投手として戦ってきた右腕のプライドをのぞかせた。

 日本球界で積み上げた白星は98。NPB通算100勝達成を期して臨んだ今季だったが度重なるコンディション不良に悩まされ、志半ばでユニホームを脱ぐ決断をした。

「周囲の人間は『まだやれるよ』と言ってくれたが、体も腕も悲鳴を上げていた。痛みの中、ボロボロになって投げるのは、つらいものがあった。NPB通算で98勝84敗。勝ち負けのつかなかった試合は81試合かな。そのうちのたった2つでもいいから勝ち星になってくれていればという思いもある。ただ、それが野球というもの」とサバサバとした表情で振り返った右腕は「6度の開幕投手を務められたことは誇り。日本人の中でもこれだけ開幕投手を務めた選手はそうはいない」と自らが日本球界に残した確かな足跡に胸を張った。

 また報道陣からの問いに応える形で、ここまで長らく不調に苦しむ藤浪についても言及し「藤浪だけではないが、阪神には若く才能にあふれる選手がたくさんいる。多くの人に頼ってアドバイスを受け入れることは大切。時には後退することも大事。失敗から学ぶこともある。(周囲に)頼りながら努力し続けてくれれば」とエールを送った。

 メッセンジャーは9月29日の中日戦に登板し聖地・甲子園のマウンドから虎党に別れを告げる。「ファンの皆さんの心に残るような投球ができれば」と“ラストマウンド”への思いを語った。