西武が11日のソフトバンク戦(メットライフ)に4―1で勝利し、今季130試合目で初の首位に立った。12日の第2戦にも勝てば優勝マジック11が点灯する。

 先発・ニールが7回7安打1失点の好投で10勝目。女房役の森が3回二死の満塁機に走者一掃の3点打を放ち平井、増田の無失点リレーで逃げ切る理想的な展開だった。辻監督は「今日勝てたことがうれしい。首位といっても首位じゃない。負け数とかもあるし、それを考えるとまだまだ。ベンチはいつもと変わらず元気を出してやっていた」と勝ってかぶとの緒を締めた。

 8月以降の35試合を23勝12敗(勝率6割5分7厘)と猛追し、最大8・5ゲームあったソフトバンクとの差をひっくり返したのは、ここまで699得点を叩き出してきた強力打線のおかげだ。前エース・菊池がメジャー移籍、昨年16勝を挙げたリーグ最多勝右腕・多和田が1勝止まりで現在は「頻脈性不整脈」で治療療養中、おまけに今季10勝をマークした5年目・高橋光も右ヒジの炎症で戦線離脱している。この首位逆転劇は奇跡的な展開というほかない。

 ここまでチーム防御率は昨年の4・24より悪いリーグワーストの4・42。仮に残り13試合を突っ走って連覇すれば、あの「近鉄いてまえ打線」も果たせなかったチーム防御率リーグワーストでの連覇というプロ野球史上初の“偉業”を果たすことになる。

 赤田打撃コーチは「この打線がいつ止まるかと心配しながらここまで来ましたけど、あいつらホントすごいです!」と野球のセオリーを覆し続けてきた強力打線に最敬礼。

 シーズンを通して打線におんぶに抱っこだった小野投手コーチは「残り13試合のやりくりは大変だけど、何とかしますよ! こうなったら思い切ってやってくれればいい。それでダメなら俺が責任を取ればいい」と腹をくくり最後の坂を上り切る覚悟を口にした。

 いずれにせよ「最強打線」と「最弱投手陣」の変則コラボが生み出すストーリーは見る者の想像の斜め上をいく感動を生み出している。