これも余裕の表れなのか――。巨人が18日の阪神戦(東京ドーム)を6―3で制し、首位をガッチリとキープ。8年連続の阪神戦勝ち越しも決めた。今月2度目の4連勝と波に乗ってきたが、懸案事項もある。ブルペン陣を支える4年目左腕・中川皓太投手(25)は「コンディション不良」のため9日のヤクルト戦を最後に出番なし。それでも出場選手登録を外れることなく一軍帯同を続けており、ライバル球団からは嫉妬めいた声も上がっている。

 最後まで主導権を渡さなかった。4回に増田大の2点三塁打などで3点を先制し、5回には岡本がバックスクリーン左に特大の23号ソロを放り込んだ。7回に1点差まで迫られたが、直後にゲレーロの2点二塁打で突き放した。投げては先発・山口が7回途中3失点と粘り、大竹、田口、最後は9回二死から澤村が無失点でつないだ。

 今月2度目の4連勝にも、原監督は「勝ち越すだけが目的ではないわけだからね。これからまだ勝負が続きますから」と浮かれることなく表情を引き締めた。ただ、他球団からは「巨人は余裕ですね。この時期に“故障者”に1枠を使えるんですから」との皮肉発言も聞こえてくる。

 前日17日は4連投中だった大竹をベンチから外し、この日は登板過多だった高木に完全休養を与え球場にも姿はなかった。選手の体調管理を最優先とする首脳陣の意向が反映されたものだが、それ以上にライバル球団から羨望のまなざしを向けられているのが中川だ。今季大ブレークの左腕が最後に登板したのは9日のヤクルト戦。翌10日には「いると使いたくなる」(原監督)と連投続きだった中川とデラロサをベンチから外した。そこまでなら珍しいことではないが、中川は12日からの広島3連戦を「コンディション不良」で事実上の欠場。この日はベンチ入りしたが、試合前の練習はランニング程度にとどめ、キャッチボールは行わなかった。

 出場選手登録抹消の選択肢もあった中での一軍帯同。原監督は「(再登録可能となる)10日もかからないという部分で抹消しなかった」と説明していたが、中川の症状は現在も一進一退を繰り返している模様だ。

 この日の試合後、宮本投手総合コーチは19日からの名古屋遠征にも中川を帯同する方針を示した上で「おとといキャッチボールをしたら、また響いたということで。今日は何もするなということ。試合の緊張感だけは保ちつつ」と語った。

 それでも“中川不在”の10日からチームは7勝1敗。この日は原監督が「今日はリリーフで投げられる人が、そうそういなかったんだよね」と語ったように中川、高木が欠員状態でも快勝した。野手陣や先発、他の救援陣の踏ん張りがあってこそだが、左腕復活の時にはいよいよ首位固めは盤石のものとなりそうだ。