最強2番打者が好調だ。巨人は19日から阪神3連戦(甲子園)に臨む。リーグ屈指の破壊力を誇るG打線をけん引する一人が、広島からFA移籍した丸佳浩外野手(30)だ。18日時点で打率3割2分8厘、5本塁打、15打点の好成績。期待通りの活躍には原監督も満足げだが、同時にある疑問も…。なぜ、メジャーを目指さなかったのか? 丸本人を直撃した。

 平成最後となる伝統の一戦を前に、巨人はこの日、熊本から関西入りした。前夜は新守護神クックが崩れて逆転負けしたが、開幕から9勝7敗とまずまず。その原動力となっているのは打線だろう。16試合で25本塁打を放ち、チーム打率2割7分6厘と高い数字を叩き出している。なかでも今季の新たな“顔”となったのが、FA加入した丸だ。新天地でも2年連続MVPの実力を発揮し、大きな核となっている。

 開幕当初は坂本勇と主砲・岡本の間に入る形で3番を務めた。1番だった吉川尚の離脱によって16日から2番に変わったが「(やることに)変わりはないです」と話した通り、前夜には移籍後初めて古巣・広島に強烈な一発をお見舞いした。勝ち越し弾は結果的に空砲に終わったが、相手にとって恐怖の2番打者となっている。

 そんな丸の活躍ぶりにはFA宣言後に直接熱意をぶつけた原監督も目を細めるばかりだが、一方で疑問もあった。「彼はメジャーに行こうと思わなかったのかな?」。

 確かに走攻守すべてで日本トップクラスの実力を備え、もう少し広島でプレーしていれば海外FA権も取得できた。日本を飛び出し、世界の大舞台を目指しても不思議ではなかった。その点について丸はどう考えていたのか…。「メジャー志向? 一切ないです」と言い切るとこう続けた。

「単純にメジャーリーグも見るのは好きですよ。球が速いな、すごい打球を飛ばすな、すごいプレーをするなあとか。そういう興味はありますけど、いざメジャーでプレーをするかというと、そういう興味はないですね」

 過去には広島から大先輩の黒田博樹氏や前田健太(ドジャース)が海を渡り、成績も残している。それでも丸は「もともと1個ずつ、自分の中での課題を潰して潰して何とか今までやってきたので。向こうに行ったら知らない投手ばかり。(日本の)12球団でもなかなかいっぱいな状況で、それが倍以上に増え、なおかつそこで結果を残さないといけない。いろんな経験をした上で今の自分があるので。自分の中で、ある程度、自分の“キャパ”は理解しているつもりです」と本音を打ち明けた。

 MVPを連続受賞した今もひたむきに練習に明け暮れる。背伸びすることなく、冷静に自己分析できる力こそが第一線で活躍し続けられる秘訣なのかもしれない。