【ニューヨーク25日(日本時間26日)発】ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(25)が、ロイヤルズ戦で49、50号を放ち、1987年にマーク・マグワイア(アスレチックス)が樹立した新人王有資格者のシーズン最多本塁打記録を塗り替えた。3回に右中間席に49号を放ち、メジャー記録に並ぶと、7回に左中間最深部への特大の一発を叩き込み一気に抜き去った。チームは11―3で圧勝した。メジャー2年目での大ブレークを支えたのはヤンキースのGM特別アドバイザーを務める松井秀喜氏(43)の金言だった。

 試合後の会見では「信じられない。チームメートや監督に感謝したい」と自身の記録については控えめなコメント。プレーオフを勝ち進む意気込みを強く示した。

 昨年8月にメジャーデビューしたジャッジは、初打席で中堅に初本塁打。しかし、確実性に欠け打率1割7分9厘、4本塁打、10打点に終わった。今季は開幕戦に8番・右翼で出場するとレギュラーに定着し、オールスター戦前で打率3割2分9厘(ア・リーグ3位)、30本塁打(同1位)、66打点(同2位)と大活躍。オールスター戦はア・リーグトップの448万8702票で初選出され、本塁打競争は圧倒的なパワーで制覇した。

 しかし、オールスター戦後は徹底マークに遭って急失速。8月はわずか3本塁打だった。「長いシーズンだから好不調はあるし、ポジティブな気持ちでいた」。9月に入るとエンジン全開。22試合で13発と量産し、今回の記録更新となった。

 大ブレークの裏には何があったのか。ジャッジは松井氏からの教えがあったことを明かした。

 最も教えを受けたのは、ヤンキース傘下2A・トレントンにいた2015年。「(自身を含め)4~5人の選手を集めて打撃ミーティングのようなことをしては、3Aやメジャーで成功するためにはどう打てばいいか、僕らのスイングの良いところ、悪いところを細かく分析して教えてくれた」

 今も心に刻んでいるものを問うと、こう続けた。「いくつもあるけど、一番大きかったことは下半身のコントロール方法。しっかり地に足をつけ、意識すること。それまでは『レッグキック(足を大きく上げること)』をしていて、頭がよくふらついていたんだけど(松井氏から)『下半身を安定させたら、頭がしっかり固定され、ボールを捉えられるようになるよ』と言われたんだ」

 大きく足を上げない、安定感ある打撃フォームを体得したことで、確実性だけでなく四球を選べるようになった。ジャッジが“ゴジラの教え”で得た、もうひとつのポイントだという。「それこそ、下半身をしっかりコントロールすることで頭が固定されたから、ボールをしっかり見る時間ができたし(四球を)選びやすくなった。より長くボールを見られるようになったことで、さまざまな可能性が広がったよ」

 天性のパワーに、松井氏からの金言が加わったことで驚異的な“化学反応”を生み出した。25歳の若き大砲はプレーオフでもヤンキースを引っ張る。