【福岡ボートSG「第44回オールスター」カウントダウンコラム「新参者からの挨拶状」(1)】人気と実力を兼ね備えた一流レーサーが集結するボートレース福岡のSG「第44回オールスター」が23日、開幕する。今回の直前企画は「新参者からの挨拶状」と題し、オールスター初出場のフレッシュなレーサーを紹介。その第1回は女子ボート界に新風を吹き込む中村桃佳(24=香川)の登場だ。

 今大会メンバーでダントツの最年少。レジェンド・今村豊とは30歳以上の年齢差がある。百戦錬磨の強豪と同じ土俵で戦うことになるが「勉強と挑戦の両方ですが、もちろん勝ちにいきたいです」と臆する様子は全くない。

 ファン投票で選ばれた中村以外の女子レーサーはレディースCやクイーンズCに出場する実力者ばかり。そこに交じって選出されたのは、度胸満点のレースが支持されているからに他ならない。

 16年1月、下関一般戦の初優勝はボートファンに衝撃を与えた。男女混合戦で優出した中村は市川哲也、江口晃生らSGレーサーを相手に5コースから豪快にまくり差して大金星。

 今年2月の鳴門GⅠ四国地区選手権でも予選突破(準優3着)と、男子レーサーと互角に戦っている。自身の持ち味を「スタートですね。それとターンで魅せたい」と語るように、ダッシュからの鋭い旋回は強烈なメッセージとしてファンの脳裏に焼きつくのだ。

 昨年10月の江戸川GⅢオールレディースの準優Fにより約4か月間、女子戦を走れなかったが「混合戦はすごく勉強になった。スピードも違うし、ミスしたら抜かされる。女子戦を走れなくて逆に良かった」とプラスに捉えている。

 幼少期から少林寺拳法で体を鍛えた。香川県大会では何度も優勝。同じくボートレーサーの兄・晃朋とは取っ組み合いのケンカもした。「互角にやってましたね。親も止められないくらい(笑い)」。男子相手に一歩も引かない姿勢は、このころに養われたようだ。

 父・忠之さん(46)は昨年11月、香川・宇多津に「セルフうどん麺太郎」をオープン。その開店資金を兄弟でプレゼントするというデビュー当初からの夢をかなえた。次なる目標は「クイーンズCやレディースC、あと最優秀新人も取りたいですね」と果てしない。

 かつて最強女子レーサーとうたわれた横西奏恵さん(引退)は「男子に立ち向かう女子選手が出てきてほしい」と言ってボート界を去った。同じ四国出身・中村の走りを見るたびに、その言葉が思い出される。

☆なかむら・ももか=1993年2月3日生まれ。香川支部の114期生。2014年5月のまるがめでデビュー。同年11月の桐生で初1着。16年1月、下関・男女混合戦で初優勝を飾る。GⅠ初出場の17年2月の四国地区選手権(鳴門)で準優3着。17年前期は2階級特進でA1級、後期はA2級。通算1V。身長155センチ。兄は中村晃朋(香川・111期)。血液型=B。