舟券的中への近道 ボートレースアカデミー

【ターンマーク】競走水面の両側に1個ずつ、紅白に染め分けられて浮いている物体がターンマーク。スタンドから見て右側にあるのが第1ターンマーク、左側にあるのが第2ターンマークで、選手が周回する基準(ターンマークの外側を回らなければならない)になる重要な水上施設の一つ。

 スタンドから見ると単なる“沈黙の標識”にすぎないターンマークにも歴史があり、ボートレース草創期は大型トラックのタイヤの上に中型トラックのタイヤを重ね、さらにその上にブリキを円すい形に加工したものを装着し、紅白の塗装を施してターンマークにした。しかしタイヤは硬く、ぶつかった時にはハンドルが腹にめり込むような衝撃を受けたという。

 そこで開発されたのが現在のソフトターンマーク。タイヤより柔らかい素材でできており、空気を入れて膨らます。遠目に見ても大きさはピンとこないが直径約110センチ、高さ約95センチと間近で見るとかなりデカく、ちびっこ相撲の関脇くらいある。値段は約80万円だ。

 この“沈黙の標識”くん、声に出して訴えはしないが、ボートにぶつけられて生傷が絶えない。もちろん、塗装も剥げるため、定期的にペンキの塗り直しが必要だ。

 ※最近、上・中・下の3つに分離する「3段式ターンマーク」が開発された。これだと破損時に破損部位だけを交換できるため経済的らしい。

【水神祭】デビューして初めて1着を取った選手が、救助艇に乗って大時計の前へ。そこで同期や同支部、同地区の選手に担がれ、水の中へドボン!

 これが水神祭だが、起源は定かでない。15期の元選手によると「ワシのころにはあった。初1着と初優勝で水神祭をやっとったな」とのことで、ボートレース草創期から行われていたと思われる。

 水の神様に勝利の感謝をささげるという意味だろうが、明確な規定はなく、最近ではデビュー初1着や初優勝に加え、GⅠやSGの初1着、同初優勝、通算1000勝、通算2000勝、さらには誕生日や出産記念で水神祭をするなんてケースも(デビュー初1着以外では救助艇を出さずピットで行うことが多い)。

 昨年12月の児島(64周年記念)で通算2000勝を達成した今垣光太郎(SG・9V、GⅠ・28V)の水神祭が行われたが「水神祭はデビュー初1着以来です。その後はずっと断ってたんですが、今回はレース場の決まりだと言われたんで…」と意外な告白。どうやら水神祭をやる、やらないには本人や関係者の意向が反映される模様。

 中でも一番の要因が「その時、周りにどんな選手がおるか」と語るのは43期の元選手・後明俊夫さんだ。「ワシらお祭り大好き人間やから、何かにかこつけて『水神祭やったろ~!』ゆうて何人も放り込んだ(笑い)」

 ノリのいい選手が多いシリーズに節目の勝利があると、水神祭が行われる確率が上がるらしい。