目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【中村晃朋(25=香川・111期)】 当コーナー2017年の1発目は四国・香川支部の“秘密兵器”中村晃朋(25)だ。「兄妹レーサー」の兄で妹は女子艇界の新進気鋭・桃佳(23)。これまでは秘めたる能力を感じさせながらも、まだその“力”を発揮できずにいるのだが、今年は大きく“覚醒”する可能性も十分だ。

 デビュー4年以上が経過し、着実に力をつけている。現在はまだB級に甘んじているものの、17年前期は勝率5・21。A2級まであと少しのところまできた。とはいえ、いささか伸び悩み気味ではある。そこは当人も理解しており、当然自己評価も「全てにおいて実力が足りない。A級に上がれていないし、これが今の実力。諦めずに向上心を持ってやっているけど、焦って空回りしている…」とシビアだ。

 対照的に妹の桃佳は17年前期、初のA1昇格を果たし「素直にうれしい。妹はA1、自分はB1。立ち位置が違うし、比べるレベルじゃない。ただ自分自身が情けないし結果を受け止めないといけません。反骨心も出てきた…」と意識は高まった。

 彼の師匠である重成一人と交わした「記念レースで一緒に走る」という約束も果たしたい思いがある。その重成は現状の中村に対し「伸び悩んでいるね。焦りもあると思うけど成長が遅い。今は5点選手だけど6点を取れる力があると思っている。ファンの人にはもうちょい待って~って感じですかね(笑い)。これからもっと成長するはず」と厳しい言葉ながら、優しいまなざしを注ぐ。

 本人も師匠からのアドバイスは実行している。「(重成)一人さんは現場主義で『陸(おか)の上から動きなさい』と言われる。一人さんなりの作法だと思う。うまい人のマネはすぐできないし、人間関係を築いて現場でいろんなことを吸収して、勉強することがプラスになる。もう一度ガムシャラにならないといけない」

 近年、香川支部のヤング勢力には活気が出てきている。中村もいずれはヤングダービーなど上の舞台での活躍を夢見ており、同世代の若手同士で切磋琢磨して、個も全体もレベルを上げていきたいはずだ。

「(香川支部は)若手のリーダー近江(翔吾)さんが中心になってみんな盛り上がっている。自分もその仲間に入れるようにもっともっとやるだけ」

 磨けば光る“原石”だけに、いつかきらめく輝きを発するはず。昨年のボートレース界をにぎわせた篠崎元志・仁志の兄弟レーサーのように、兄妹でさらなる飛躍をすれば、大舞台での直接対決も夢ではないはずだ。

☆なかむら・あきとも=1991年11月3日生まれ。香川支部の111期生。12年11月まるがめ一般戦でデビュー、13年9月のからつ一般戦で初白星。通算6優出0V。いずれ香川支部を背負って立つ有望株と期待される。身長168センチ、血液型=A。