夫婦ボートレーサー泣き笑い 力良&裕子の交換日記

【中西裕子の巻】10月の戸田「男女W優勝戦」で、ついに初の優勝戦進出を果たしました! それも期末の「F2本持ち」という絶望的な状況でした。実は「F2」はデビューして初めての経験。今までで最も不利な立場なのに、最もいい成績を挙げられるとは不思議なものですね。ただ、今考えると「F2」だったことが逆に優出につながったと思うんです。

 このシリーズはフライング休み明けで、最終日の後に2本目の休み(60日間)を控えていました。だから、無事故完走が一番の課題。これまで戸田を走るときは、地元という意識もあって「勝ちたい!」という気持ちが先走り、体がついてこなくて悪循環にハマっていました。でも、今回は勝ちたい気持ちより「フライングできない」との意識が勝り、心と体のバランスがうまく取れてました。今まで準優戦も数えるぐらいしか経験したことがないのに、その準優で6号艇からの2着でゴール!

 そして迎えた10月25日、午後4時15分――。初めて経験する優勝戦の控室ではいつものレースより緊張しませんでした。とにかくスタートを抑えないといけない、よっぽどいい展開に恵まれないと優勝できないって思っていたので、冷静になれました。それに私がたとえコンマ01のスタートを決めても、みんなも0台を狙ってきます。だから、いくら早いSを切っても勝てるとは限らない。そもそもF2の身で0台を狙うのは命取り…。さすがに「F3」になるわけにはいきませんからね。こんなふうに考えごとをしていたら緊張するヒマもなく、気付いたらレースが始まっていました。

 結局、1艇フライングが出ましたが、無事にコンマ11のスタートを決めて4着でフィニッシュ。出来過ぎなシリーズでした。まさにケガの功名! F2だからこそできた初優出! こんなこともあるんだなあ…と、日頃の行いを見直そうと思いました(笑い)。

 もう一つ、レースから引き揚げてくるたびに声をかけてくれた先輩や後輩にも感謝です。同期の(平田)さやかは優勝戦と一般戦の違いを教えてくれました。「優勝戦は欲深い人が勝つと思う」という言葉が印象的でしたね。池上(裕次)さん、向後(龍一)さん、関係者の方には「行くなよ! 行くなよ!」とスタート事故の心配をされました。さらに優勝戦の後、新人歓迎会と打ち上げを兼ねて埼玉支部の女子が集まったのですが、その席で後輩たちに「おめでとうございます!」と言われ、先輩たちには「え!? 初優出だったの?」と驚きながら祝福していただきました。周りの人たちにも本当に恵まれていたと思いますね。

 今回の初優出を機に今後もまだまだ成長し、次は初優勝を狙います!

☆なかにし・ゆうこ=1983年12月30日生まれ。埼玉支部の94期生。2004年5月の戸田でデビュー。同年8月の平和島で初1着。夫・黄金井力良とは10年10月に結婚。11年2月に長女、14年3月に長男を出産。15年1月の産休明け復帰シリーズで通算100勝を挙げた。15年10月に初優出。優勝は未経験。身長161センチ。血液型=O。

<次回は夫・黄金井力良が執筆=11月19日掲載>