目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【中嶋健一郎(26=三重・105期)】「あのレースは恥ずかしかった…。一生、忘れられないレースかもしれません」――。“あのレース”とは最後の新鋭王座決定戦(現ヤングダービー)となった13年桐生大会の準優9Rのことだ。

 4カドからトップスタートを決め、1Mでは鮮やかなまくり差しで先頭に躍り出た。そこまでは良かったが道中で桐生順平に逆転を食らい金星を逃す形になった。

 あの一戦は中嶋の特徴を端的に表していたともいえる。スタート力が評価される一方で「ターンが課題。今でも抜かれることが多い」と嘆く。だが、着実に力をつけているのも確かだ。現在はA2だが前期にはA1昇格も経験。地元・津の4月ルーキーシリーズでは優出22回目にして初優勝も飾った。

 三重支部の一員としてヤングダービーに一緒に出場する西川昌希にもいい刺激を受けている。西川は今年のクラシックでSG初出場を飾ったが、外枠時には前づけも敢行。準優戦には2号艇で乗艇という活躍だった。

「期は1個上(104期)ですけど、同い年なんです。ターンはデビューした時からうまかったし、減量して上に行ったって感じですね。あれ(コース取りなど)をまねすることはできないけど、少しでも追いつきたい」

 しかし大胆なコース取りはまねできなくとも、中嶋も思い切りのいい攻めは随所に光るモノを見せる。前述のルーキーS優勝戦もF1本持ちだったが、4カドからコンマ02でまくっている。

 自身は「勝負するにはSしかないけど、記念に行けばみんな早いですから」と話すが度胸に関しては三重支部でも屈指の存在だ。またエンジン出し巧者の多い三重支部の伝統も受け継いでいる。

「ペラがある程度できるようになってきたのはありますが、エンジンの引きは悪くない方ですね」

 調べてみると過去GⅠ戦4節出走中3節で機率40%以上と確かに引きはいいが、それ以上にピットで調整に汗を流す姿が目立つ。試運転にもよく出ており、今月の地元お盆開催優勝戦(6号艇で2着)でも、スタート展示直前まで試運転を繰り返した。そんな姿に神様も味方してくれているのかもしれない。

 ヤングダービー開催地の尼崎ではもっか連続優出中。「2節前の一般戦(昨年9月)が出てました」と好相性を自任する。A2だけに現状は格下の扱いとなるがスタート一撃は穴党必見の存在となるだろう。

☆なかじま・けんいちろう=1989年6月23日生まれ、三重支部所属。2009年11月津デビューの105期生。デビュー節に初1着(5走目)。今年4月の津ルーキーシリーズで初優勝を飾った。師匠は中村守成。同期には佐藤翼、古田祐貴、磯部誠、塩崎桐加ら。血液型=B。