今、40・50代の“バブル世代”に深刻な問題が迫りつつあるという。それが「男性更年期障害」だ。更年期は女性特有のモノと思ってしまうが男性にもあり、男性更年期障害の潜在的な患者数は推定600万人に上るとも言われている。だが、きちんとした治療を受けているのはわずか2万〜3万人。一体、どんな症状でどのような人がなりやすいのだろうか? 

 1980年代後半から90年代前半にかけてのバブル絶頂期に就職し、現在は会社で重要なポストを占める40・50代の男性は“バブル世代”と呼ばれる。世の中全体が、空前の好景気に沸き立っていた時期に社会に出た彼らは、他世代からは根拠のない自信を持っているように見られる。また、終身雇用を疑うこともなく、同期との出世競争が仕事の原動力となっていた。競争意識と自己顕示欲が強く、それをお金をかけることで満たそうとする傾向が強いという。

 そんな彼らが、ある日突然、【集中力低下】【無気力】【不眠にイライラ】【性欲減退】といった一見、病気とは捉えにくい症状に襲われる。周囲には怠けているように見えてしまうこともある。

 実はこの「やる気がない」「働かない」ように見える男性の様子や行動が男性更年期障害のサインなのかも知れない!

 医療法人社団湖聖会 銀座医院 院長補佐・抗加齢センター長、常葉大学健康科学部教授、東海大学医学部客員教授を務める久保明先生に男性更年期の原因と女性の更年期の違いを聞いたところ——「男性更年期は、加齢により男性ホルモンが低下することで発症します。男性ホルモンの低下のスピード、レベルなどは個人差が大きいのが特徴。女性が閉経(だいたい50歳前後)により女性ホルモンの分泌がほぼ一様に急激な減少を見せるのとは違います。そのため30代の男性の方が80代よりホルモン値が低いということもあるのです」と話してくれた。

 症状としては、まず「心・体・性」に現れる。「心」については、うつっぽくなったり、イライラしたり、不安になっている? 「体」については、メタボではないか? 疲れやすくなってないか? 急に昼間眠くなったりしないか? 「性」については、朝勃ちが減ってないか? 勃起がよくないか? 性欲が落ちてきてない? といったことが指標となる。

 久保先生によると「まず自分を知り、正しい知識と治療を行うことがなによりも大切」と語る。「男性更年期は、男性ホルモンを測定する血液検査と症状により判断されます。ここで注意しなければならないのが、男性更年期=EDではないということ。疲れやすさも肝機能障害や心不全など他の病気が潜んでいる場合もある。50〜60代のうつと男性更年期の症状には似た部分もあるので、検査を含めた総合的な判断が必要です」。
 男性ホルモンの低下によって男性更年期になりやすい。男性ホルモンが低下する原因には、加齢のほか睡眠不足やアルコールの過剰摂取、運動不足での筋肉の低下、疲れやストレスなどがあるという。上司に叱責されたり、勝負事に負けたり、新しい環境下でうまく結果が出せなかったりすることでも男性ホルモンは下がってしまう。

 では、どうやって低下を防げばいいのか? それにはまず、自分が男性更年期かどうかを知ることが必要だ。最近は、男性更年期専門クリニックやドックが開業していたり、インターネットで自分のバブル男性のタイプや更年期障害のリスクが学べる「男の後半戦.com」といったものもある。さらに、日常生活では食生活の栄養バランスに気をつけ、ビタミンなどが足りない場合はサプリメントなどで補う対策も有効だ。太極拳やヨガなどによる運動療法も重要だという。

 最後に久保先生は「体調で気になることがあったり、その症状が続くようであれば、まずは病院へ行きましょう。検査を受け、体のどこが悪いのかを明らかにした上で、正しく対処することが老化を防ぐ方法の一つ。男性更年期は自分を知ることができるいいチャンスなのかもしれません」と前向きなアドバイスを送ってくれた。

 バブル世代の男性は、やっぱり男の後半戦もかっこいい大人でいたい。

【男の後半戦.com】男の後半戦を戦う40・50代、バブル世代における実態、特に健康面などの傾向を調査。最近、話題となっている男性更年期の専門家による解説や、バブル世代のリスクが学べるWEBサイト。http://top.dhc.co.jp/otoko/